その期間、各球団GMの口から、「松井秀喜」の名前が聞こえてくることはなかった。
ワールドシリーズ終了後、動きの鈍かったFA市場が、12月5日からテキサス州ダラスで行なわれたウインター・ミーティングを境に、一気に動きはじめた。新生マーリンズが遊撃レイエスをはじめ次々に大物を獲得したのに対し、エンゼルスは大砲プホルス、左腕ウィルソンと大型契約を結んだ。日本人ではダルビッシュ、中島、青木がポスティング申請を行なうなど話題を集める一方で、アスレチックスからFAとなった松井の話題は、影を潜めていた。
来季でメジャー10年目。ヤンキース時代は打点を稼ぐ中軸として活躍し、'09年のワールドシリーズでMVPに輝いたとはいえ、その後、エンゼルス、アスレチックスと渡り歩いた過去2年間は、決して満足のいくシーズンではなかった。特に、今季のシーズン序盤は、スタメンから外れることも多く、その結果、極度の打撃不振に陥った。それでも、ゲレン前監督の解任に伴い、後任のメルビン監督代行がベテラン松井を重用。首脳陣の信頼感を得たことで、息を吹き返したかのように打ち始め、DH兼外野手として毎試合出場できる立場を確保した。
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photograph by Yukihito Taguchi