「ブラジルW杯では、優勝を目指している」
そう公言している男は、その壮大な目標に向かって、
何を考え、どのような試行錯誤を行なっているのか。
モスクワで直撃取材を繰り返している筆者が、
彼との議論のなかから見えた進歩の足跡を描く。
そう公言している男は、その壮大な目標に向かって、
何を考え、どのような試行錯誤を行なっているのか。
モスクワで直撃取材を繰り返している筆者が、
彼との議論のなかから見えた進歩の足跡を描く。
本来、このタイミングであれば、ケガの話、そしてエース不在で臨んだW杯予選の話をすべきだろう。北朝鮮戦も、ウズベキスタン戦も本田圭佑がいなかったことで、明らかに日本代表の攻撃は手詰まりになっていた。
だが、そういう短いスパンでの出来事より、日本が本気でW杯優勝を目指すために、ぜひ知ってほしい本田の“進化”がある。
約3カ月前のことだ。
6月22日のCSKA対ロコモティフのモスクワダービーを記者席から観ていて、鳥肌が立つような驚きを覚えた。本田が今までにないような発想を持ってプレーしていたからだ。
本田と言えば、パワーと技術を生かして、相手に囲まれてもボールをキープできるのが大きな武器だろう。ただ、ひとつ欲を言えば、ぶつかられてもキープできるだけに、フリーになろうとする動きが少ない印象があった。相手を外す動きが不足していた。
だが、この日は違った。
首を何度も振ってまわりを見てポジショニングを修正し、相手に近づきすぎるとバックステップを使って間合いを広げる。また、パスを受ける直前に、相手の重心を揺さぶるようなアクション(たとえば左に行くと見せかけて、右に行く)をしてフリーになっていた。首を振る回数、バックステップの回数、パスコースに顔を出す回数……。どれもが格段に増えていた。
まるでバルセロナに数カ月留学したかのように――。
元日本代表の風間八宏が提唱した「ボールの受け方」の理論。
実はこのダービーの2日前、CSKAの練習場で、筆者はあるサッカー論を本田に投げかけていた。「現代サッカーでは、こういうボールの受け方が鍵になっている」と。
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photograph by Atsushi Kondo