途中出場で代表デビューを果たした韓国戦で2アシスト。
W杯予選の北朝鮮戦でも、値千金の決勝点を演出した。
するりとスペースへ抜け出し、攻撃に変化を作る21歳。
その飄々とした表情の裏に潜む自覚と決意を探る――。
W杯予選の北朝鮮戦でも、値千金の決勝点を演出した。
するりとスペースへ抜け出し、攻撃に変化を作る21歳。
その飄々とした表情の裏に潜む自覚と決意を探る――。
いつの時代も新星は突然、現われる。
ブラジルW杯・アジア3次予選の初戦、北朝鮮戦でのロスタイム、窮地の日本を救った吉田麻也のゴールをアシストしたのは、弱冠21歳の清武弘嗣だった。
「あのクロスは、ショートコーナーが前半からいい感じで通用していたし、ハセ(長谷部誠)さんが寄って出してくれたんで、たまたま上げたというか、密集に上げたら何か起こるかなって思って……。最後、麻也(吉田)君が決めてくれて良かったです」
そう言いながらも腑に落ちない何かがあったのだろう、少し不満気な表情を見せた。
だが、清武株は急上昇中だ。
香川は「キヨが入ったことでチームが活性化した」と清武を絶賛。
代表デビュー戦の8月10日の韓国戦では、途中出場ながら本田圭佑と香川真司の得点に絡み、2アシストを上げた。試合後、本田は、「僕の得点よりもキヨを誉めてやってください」と、最後まで自分の動きを見て、冷静にラストパスを出した清武を持ち上げた。
北朝鮮戦も後半15分、途中出場するとトップ下の香川と一卵性双生児のように息の合ったコンビネーションを見せてチャンスを演出し、流れを変えた。香川は「キヨが入ったことで、スペースを空けたり、突いたりして攻撃の幅が広がったし、チームが活性化したと思う」と、単調だった攻撃に大きな変化を与えた清武を絶賛した。
W杯予選の初戦という特別な空気にも飲まれず、続くウズベキスタン戦にも途中出場し、通算3アシストという結果を出すのは並大抵のことではない。「たまたまっすよ」と、清武は謙遜するが、なぜこれほどの活躍をすることができたのだろうか――。
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photograph by Shinya Tanaka