日本野球界に外国人監督はなぜか根付かない。'05年にバレンタイン、
'06年にはヒルマンが日本シリーズを勝ち取ったが、その勢いは長続き
しなかった。彼らは「日いづる国」で 何に悩み、何を感じたのだろうか。
そして外国人監督はもはや必要ないのだろうか――
33年前に『菊とバット』で日米の野球観の違いを喝破した
ロバート・ホワイティングが外国人監督の見た「ニッポン野球」に迫る。
'06年にはヒルマンが日本シリーズを勝ち取ったが、その勢いは長続き
しなかった。彼らは「日いづる国」で 何に悩み、何を感じたのだろうか。
そして外国人監督はもはや必要ないのだろうか――
33年前に『菊とバット』で日米の野球観の違いを喝破した
ロバート・ホワイティングが外国人監督の見た「ニッポン野球」に迫る。
日本とアメリカは、野球というスポーツについて、考え方が二分される。どちらも一世紀以上野球を続け、どちらもその間に独自のやり方を開拓したからだ。来日したアメリカ人監督は、やり方の違いから誰もが欲求不満や苛立ちを覚えずにはいられない。最近のガイジン監督たちも、例外ではない。断わっておくが、日本野球に対する彼らの尊敬の念に嘘はないし、年々増しているくらいだ。
マーティ―・ブラウン '06-'09 Carp/'10 Eagles
監督として史上最多となる、12回の退場処分を受けている。退場した時の成績は9勝3敗
監督として史上最多となる、12回の退場処分を受けている。退場した時の成績は9勝3敗
ボビー・バレンタインによれば、2005年のロッテマリーンズは、メジャーリーグのワールドチャンピオン、シカゴ・ホワイトソックスに匹敵する充実ぶりだったという。その1年後、ファイターズを優勝に導いたトレイ・ヒルマンは、「日本野球はアメリカ野球に勝るとも劣らない。そろそろ敬意をもって同等に扱うべきだ。日本野球のレベルはメジャーリーグ級だ」と語り、'09年のWBCの後、こう付け加えた。
「日本野球は、長いシーズンを闘うには層の厚さに欠けるが、短いシリーズなら十分実力を発揮できる」
また彼らは皆、アメリカ人選手の一部を日本でプレーさせれば上達する、と信じて疑わない。広島と楽天の指揮を執ったマーティー・ブラウンはコルビー・ルイスの例をあげた。広島カープで2年プレーして投球技術を磨いた後、今年、テキサス・レンジャーズでスターになったアメリカ人だ。
苦労は、日本野球のやり方を変えようとしたとたんに始まる。
ルイスはカープの選手に交じって走り込みをしたおかげで、スタミナが増した。日本人のコンパクトなモーションを採り入れ、日本式投法を学んだことで、コントロールもぐんとよくなった。ブラウンは語る。
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photograph by Koji Asakura