もし来年続けたとしても絶対に成長できる――。そう語る彼女だが、引退の決意は揺らがなかった。日本代表の元キャプテンが「やりきった」というこれまでのバレー人生のすべてを今、振り返る。(原題:[引退記念インタビュー]古賀紗理那「孤独な時ほど強くなれた」)
引退からひと月が過ぎた9月中旬、まだ暑さが残る中、古賀紗理那は爽やかな白いシャツと黒のパンツ姿で現れた。
「全然トレーニングしていないから、筋肉が落ちちゃったんです。もうちょっとバキバキの身体でいたいから、頑張らないと」
現役最後と決めて臨んだパリ五輪を終えるまで、トレーニングはもちろん、規則正しい生活を続けてきた。特にこの1年は睡眠時間の確保と食事に気を配り、試合時間が夜の場合や、移動で帰宅が遅くなる時以外は21時に寝て、朝5時に起きる。食事の量とバランスにも配慮してきた。
“選手”を離れた今も早寝早起きは変わらずだが、食生活は変わった。
「もともとは、いっぱい食べなくてもいいタイプ。でも今までは次の日の練習、試合のためにちゃんと食べないとパフォーマンスが出せないと思っていたので、規則正しい食事は基本。お米をいっぱい食べる、たんぱく質を多めに摂る、ビタミンが足りない分はサプリメントで補う。とにかく徹底してきました。でも今は動かないので、そんなにお腹もすかないし、朝も『フルーツだけでいいか』と済ませちゃう。そういう時に『あー、引退したんだ』と思いますね」
ストイックな生活をしろと強要されたわけではない。むしろ「苦じゃなかったし、好きでやっていた」。やると決めたらやり抜く。古賀の性には合っていた。
「何事にも徹底して取り組んできたけど、そもそも私、ちゃんとやっている自分が好きで、やらない自分が嫌い。ちゃんとやってきた、と言い切れるから選手生活も自信を持ってやり抜くことができました」
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photograph by Koichiro Matsui