野球クロスロードBACK NUMBER
ぶれない野球でチームを支える。
ペナントの行方を決める「ベテラン力」。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/03/23 10:30
「生きるか死ぬかという人がいる中で、野球どころじゃないだろうという人もいるだろうけど、今は野球しかできないから」という、震災に関してのコメントを残している山崎武司。2軍で調整中だったが、3月の開幕に向けて1軍入りし、調子を上げている途中の震災となった
田口壮は言葉ではなく、身をもってチームをまとめる。
昨年5位のオリックスも、ベテランがポイントと言えるかもしれない。
岡田彰布監督にして「ベンチにおるだけでも違う」と言わしめた田口壮は、打撃コーチの正田耕三いわく、言葉ではなく行動で引っ張るタイプだ。
「率先して練習してくれるし、ゲームでも攻守交代を含めて常に全力疾走している。コーチが言葉で教えきれないことを、彼は身をもって若い選手に伝えてくれている。存在自体が戦力というのは間違いないでしょう」
特にオリックスは、外国人選手をはじめ大型補強を行っただけに、チームの結束力低下が懸念される。そのため、昨シーズンは代打が中心だった田口も、様々な役割を与えられることだろう。
ベテランの力を結集してリーグ連覇を狙う中日。
ベテランの力でチームの浮上を期するのがパ・リーグであれば、セ・リーグはその力で上位を死守すると言ったところか。
昨年の中日は、まさにベテランの力でリーグを制したチームだった。扇の要である谷繁元信や4番の和田一浩、守護神・岩瀬仁紀はもとより、8月に左肩痛から復帰し、わずか2カ月足らずで5勝を挙げた山本昌の存在は大きかった。
この4人に加え、昨年、横浜から戦力外を受けた佐伯貴弘が入団したことも中日にとっては大きなプラスとなりそうだ。横浜時代、低迷するチームに活を入れ続けた男は、45歳までプレーした指揮官の落合博満から、「もっと本能で打て」といったベテラン力を注入されただけに期待が持てる。
その中日に昨年、逆転優勝を許し2位に終わった阪神もベテラン勢が多く、今シーズンはその活躍如何で順位が左右されそうだ。
そうなると、キーマンはやはり金本知憲になる。