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<100人が語るRUN!特集> 村上春樹へのQ&A 「そうだ、ランナー村上さんに聞いてみよう」 (1)
text by
村上春樹Haruki Murakami
photograph byMizumaru Anzai
posted2011/03/17 06:00
ラン歴30年の村上さんがWEBで募った質問・疑問に、
ときどき真面目に、ときどきおかしく答えてくれました。
「Number Do」の第2弾「100人が語るRUN!」に掲載されたQ&A。
Number Webでは4回にわけて公開していきます。
Q.1~Q.9 Q.10~Q.16 Q.17~Q.22 Q.23~Q.26
Q.1 今までいろんな場所でジョギングをされていると思いますが、思い出に残る場所を3つ選ぶとしたらどこでしょうか? (40代・男性)
街ではボストンが最高です。チャールズ川沿いのハーバード大学あたりをずうっと走る。素晴らしいコースですね。冬は道路が凍りついちゃって走れないんだけど。それから、京都に行くといつも鴨川沿いを走るんです。御池あたりから上賀茂まで橋をいくつもくぐって走って帰ってくるとちょうど10kmぐらい。あそこはいいですよね。もうひとつは、ニューヨークのハドソン川沿い。ソーホーからジョージワシントンブリッジのあたりまで、ランニングのためのコースをニューヨーク市長が作ったんです。信号もないし、トイレと水飲み場もところどころにあって素晴らしいですよ。セントラルパークもいいけれど、最近はソーホーあたりに泊まってハドソン川沿いを走るのが楽しいです。
Q.2 出場したレースで印象に残っているのはどこですか? (30代・男性)
ボストンに勝る大会はないですね。6回くらい走ったけど、街のDNAとしてマラソンが染みついているんです。ボストンマラソンなしにボストンという街はないんじゃないかというぐらい不可分の存在なんですよ。街の営みのひとつとして溶け込んでいるんです。100年間ほとんど同じコースを走っていて、式次第のようなものが全部決まっているから、僕らはただその流れに乗っかって走ればいい。どの地点でどういうバンドがいるか、どこでロッキーのテーマがかかるかも分かっている。毎年ウェルズリー大学の前では女の子たちがずらりと並んで、キスしてくれといえばしてくれる。止まらなきゃいけないからタイムは落ちるんだけど(笑)。そして、ゴール後はよく冷えた地元のエールビールを飲んで、牡蠣を食べに行って幸福な気持ちになれる。「よくやったね」とウエイトレスが背中をとんと叩いてくれる。レースというのはそういうふうにあるべきだよね。お祭り騒ぎである前に。
Q.3 大会の途中でトイレに行きたくなってしまったらどうすればいいですか? (30代・男性)
トイレがない場合はもうそのへんでやるしかないですよね。ボストンの場合は、スタートのホプキントンにトイレが少ないから、みんなその辺の林に入ってするんだけど、女の人も立ち小便をしているんですよ。最初はどきっとしたけど、見慣れちゃうととくになんてことない。でも、都市部のレースではそうもいかないし、僕の個人的な対策としては、スタートの20分以上前とかに飲んじゃうと小便になっちゃうから、水を持っておいて、スタート30秒前あたりに飲むことです。そして走り始めてしまえば、汗で出るから。
Q.4 サプリメントは使っていますか? (30代・女性)
昔はレース中、水しか飲まなかったから、塩分不足でときどき脚が痙攣してしまうことがありました。だから、いまは必ず塩のタブレットを持って、給水するときにいっしょに口に入れるようにしてますね。