- #1
- #2
獅子の遺伝子BACK NUMBER
「嘘でしょ?」山川穂高の人的補償で西武へ…甲斐野央が振り返る“運命の分岐点”「あの強いホークス相手に投げるのか…」から始まった守護神への道
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2026/10/30 11:02
飛躍の1年となった甲斐野
すぐに相手を信頼し、素顔を見せて接する甲斐野に対し、当時の松井稼頭央監督や平石洋介ヘッドコーチからは「おまえ、スキだらけやな」と忠告されたと笑う。
「自分としては『チームメートだからいいかな』と思っているんですけど、首脳陣からしたら危うく見えたんでしょうね。そんな僕をすぐに受け入れてくれたライオンズのみんなには感謝しています」
ある日の練習中、前日に打たれて敗戦投手となった甲斐野に、髙橋光成が声をかける場面を目にした。あえて打たれたことに触れて笑いを取る髙橋光成に対し、甲斐野も髙橋光成の前年の勝利数(0勝)を持ち出して応戦。一見、はらはらするようなやり取りだが、そんな会話は日常茶飯事だと甲斐野は語る。
ADVERTISEMENT
「光成は同級生なので特に仲がいいから、そうやって何でも言える間柄なんですが、リリーフで失敗したときに腫れ物に触るような感じよりは、いじってもらったほうが切り替えられるタイプですね。今では後輩とかもいじってきますから。自分でも打たれたら自虐ネタにしますし」
西口監督から“チョップ”も
長いペナントレースのなかでは、リリーフに失敗する日ももちろんある。そのたびに落ち込んでいては、次の登板に影響を及ぼす。きっぱり割り切って翌日に備えるのは賢明な選択だ。
フォアボールを出すと試合終了後、西口文也監督から頭をチョップされる。普段はポーカーフェイスの指揮官と守護神のユーモラスな場面も話題となった。
「西口さんはドシッとされている監督で、僕たちにも『任せたよ』という感じです。打たれた際には当日ではなくて、次の日に『あの場面はこうできたらよかったんじゃない?』などとピッチングの内容を話されることはありますね」
先発、中継ぎ投手が交代する際には、監督が一緒にマウンドを降りることも多い。
「みんなは一緒に降りてくるじゃないですか。いろいろ話をしながらベンチに戻るって周りの投手には聞くんですが、僕はまだ経験がないんですよ。でも後輩ピッチャーなどの話を聞いていると、やはり投手出身だけにピッチャーのことを理解して、気遣ってくださっていることが伝わってきます」

