- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
〈織田を強行指名〉衝撃の裏で阪神が成功させた「してやったり」サプライズ指名「藤川球児監督は珍しくジョークを」現場で見た巨人・阪神それぞれの覚悟
posted2026/10/24 11:35
ドラフト会場入りする巨人・水野雄仁編成本部長(左)と阪神・藤川球児監督
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph by
Yuki Suenaga
◆◆◆
巨人編成部長の水野雄仁は終始、強行指名した織田翔希の心情を慮っていた。
「本当に素晴らしいピッチャーで、見たときから欲しいと思っていました。いろいろなことがありましたので非常に迷いましたが、最終的にこういう決断になりました」
ADVERTISEMENT
厳しい表情のままラブコールを送り終えると、この先に困難な交渉が待ち受けている現実を言外に滲ませ続けた。
「我々の指名に対して彼がどういう気持ちでいるのかは分かりません。とりあえず交渉権を得たというところで、これからゆっくり織田くんに考えていただいて、我々は誠意を尽くしていくだけです」
「球団として出来る限りのことはやりたいと思っています。ただ、彼もすごく勇気のある決断をして会見に臨んでいますので。今回は我々が指名したというだけで……。その先は何も言えない状況です」
両者の言葉を総合的に判断すれば、米球界挑戦を希望する織田の意志は固く、それは巨人側も認識している。
「日本のプロ野球ファンにお見せしたい」
過去を振り返れば、12年に高卒メジャー挑戦の意向を公表していた大谷翔平を日本ハムが1位指名して翻意させた例はある。だが、やはり入団までの道のりは極めて厳しいと言わざるを得ない。それどころか、ややもすれば夢を追う若者の前に立ちはだかる壁として批判を浴びる可能性だってある。他球団に目を移せば、ソフトバンクは最終的に織田の指名を見送っている。
それでも巨人は強行指名を敢行した。
水野は囲み取材の途中、織田について次の表現も使っていた。
「本当に日本のプロ野球ファンの方々にお見せしたいなという気持ちです」
この言葉をそのまま素直に受け止めれば、彼らは日本球界の盟主ならではの危機感からあえて“茨の道”を選択したのかもしれない。
巨人はドラフト翌日の10月23日、レジェンド松井秀喜の監督就任を発表した。新生ジャイアンツの覚悟はその1日前、すでに品川の地で示されていたのである。

