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「千賀滉大・牧原大成・甲斐拓也を一挙に獲得」空前の育成ドラフトを実現した名スカウトの“目利き列伝”「栗原陵矢の食事の様子で将来性がわかった」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byJIJI PRESS
posted2026/10/30 11:32
左から甲斐拓也、千賀滉大、牧原大成。常勝ホークスへの道に大きく貢献したこの3人が育成ドラフトの同期だとは、今から思えば信じがたい事実である
「悠々セーフ。そんな足、過去のプロ野球の中で、俺が見たことないくらい速かった」
周東「快足」伝説
私も、周東の「快足」を目の当たりにした試合があった。
2018年4月14日、奈良・橿原市の佐藤薬品スタジアムで行われたウエスタン・リーグのオリックス戦でのことだった。
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ソフトバンクが4点差を追いついた9回表の攻撃は、さらに2死一塁で続いた。
その時の一塁走者が、2年目の周東だった。左打者の釜元豪の当たりがレフト方向にふらふらと上がった。レフトが必死に前進してくる。その前へポトリと落ちた。
その時だ。周東は、もう本塁の手前にいた。レフト前へのヒットで、一塁から勝ち越しのホームインだ。実は、釜元のスピードを測定しようと、打った瞬間に私はストップウォッチのボタンを押していた。2死だから、ほぼ打つのと同時に周東もスタートを切っている。釜元ではなく、周東に目標を切り替え、ホームインの瞬間、スイッチを押した。
「10秒39」
スカウトは、スピードの目安として、打った瞬間から三塁までだと「12秒3」以内を俊足と判断する。2死で、打った瞬間にスタートする。打席とは違って一塁ベースからリードも取っているとあって、単純比較はできないとはいえ、俊足の基準より「2秒」も速い。
「はいはい、あったな」
当時、2軍監督だった小川の記憶の中にも、そのシーンが残っていた。
「そんな感じや。見たら、びっくりするやろ? あの当たりでなんで、一塁からホームまで来ているんやと。常識ではないような走塁だよな。加速するから、見ていても明らかに速い。特に二塁からサード、さらにホームへと、長い距離を走るときは加速するんよ」
大谷翔平を追い抜きそうになったWBC
2023年のWBC準決勝は、メキシコとの激闘。1点差を追っての9回、無死一、二塁から村上宗隆のセンターオーバーの二塁打で日本は逆転サヨナラ勝利を収めている。あの時の、二塁走者の大谷翔平を、代走の一塁走者・周東が追い抜きそうになったシーンは、いまや、周東の“規格外の速さ”を物語る代表的なエピソードでもある。

