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「千賀滉大・牧原大成・甲斐拓也を一挙に獲得」空前の育成ドラフトを実現した名スカウトの“目利き列伝”「栗原陵矢の食事の様子で将来性がわかった」 

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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photograph byJIJI PRESS

posted2026/10/30 11:32

「千賀滉大・牧原大成・甲斐拓也を一挙に獲得」空前の育成ドラフトを実現した名スカウトの“目利き列伝”「栗原陵矢の食事の様子で将来性がわかった」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

左から甲斐拓也、千賀滉大、牧原大成。常勝ホークスへの道に大きく貢献したこの3人が育成ドラフトの同期だとは、今から思えば信じがたい事実である

 その牧原が熊本・城北高時代に「対戦するのがイヤだった。盗塁しても必ずアウトにされた」という強肩を誇ったのが、同6位指名の甲斐拓也。大分・楊志館高の捕手だった甲斐は、卒業後に野球を続けられるかどうか分からなかった状況で、福山からテスト参加の声を掛けられている。小川は、低く鋭い二塁送球を見て、これも育成指名を“即決”したという。

 さらに千賀、牧原、甲斐の名が記された“再リストアップ”の中には、大分商の内野手・源田壮亮(現西武)の名前も記されていたという。大学進学が決まったため、源田のテスト参加は回避となったが、ひょっとしたら、源田もソフトバンクのショートを守っていたかもしれないのだ。

「イチローより速い男」

 牧原の足、甲斐の肩といった“一芸”に秀でた選手を発掘するという、ソフトバンクの育成指名における一大テーマに則した逸材で、傑作ともいえる一人が、周東佑京だろう。

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 2016年2月。宮崎キャンプ中に行われたスカウト会議でのことだった。

「誰か、足の速いのはおらんか?」

 小川の問いかけに、興味深い提案が上がった。

「北海道に『イチローより速い男』と言われている選手がいます」

 小川は、部下たちと一緒に、宮崎から東農大北海道オホーツクのキャンプ地・沖縄へと飛んだ。視察したオープン戦で、周東が1番打者を務めていた。

「非力やったけど、ぼてぼてのセンター前ヒットを打ったんよ」

 お目当ての周東が、一塁に出塁した。盗塁してくれれば、そのスピードや走塁センスも分かる。ストップウォッチを片手に、小川は一塁に注目していた。

 続く2番打者の当たりが、三遊間を破った。

「あ、レフト前か、一、二塁やな、と思ったんよ」

 その瞬間、小川は自分の目を疑ったという。

「エンドランでもない。左中間の大きい当たりでもないし、レフト線を破ったわけでもないよ。普通のレフト前、レフトが前進して真正面よ。それで周東、サードまで来たんよ」

 走者は、自分の前に打球があれば、その手前で止まるのがセオリー。ところが、そんな定説など、まるで無視するかの如く、周東は楽々と三塁を陥れていた。

【次ページ】 周東「快足」伝説

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