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プロ野球PRESSBACK NUMBER
星野仙一がドラフト会議でキレた「採点は?」「2点!」のちに2000本安打達成…じつは大成功だった“中日の隠し玉”1位指名の伝説「えっ、熊工の荒木?」
text by

安藤嘉浩Yoshihiro Ando
photograph byYuki Suenaga
posted2026/10/25 11:05
2026年のドラフト会議でくじ引きに臨む中日の荒木雅博本部長補佐。自身は“外れ外れ1位”で中日に入団し、通算2045安打という記録を残した
「熊工の荒木?」完全ノーマークのビックリ指名
結果は完全に外れた。
藤井は結果的に中日3位、武藤は近鉄3位で指名された。テレビ中継が終了した後のことである。「外れ外れ1位」の指名は次の通りだった。
中日 荒木雅博 内野 熊本工高
ヤクルト 三木肇 内野 上宮高
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「えっ? 熊工の荒木?」
ぼくは焦った。
熊本工なら、ダイエーに2位指名された松本輝は上位候補としてリストアップしていた。同年春の第67回選抜高校野球大会で完投勝利をあげているし、高校生世代の第1回AAAアジア野球選手権大会に、福留らとともに日本代表メンバーとして参加している。
しかし、荒木はノーマークだった。あとから調べてみたら、選抜大会は直前に故障して1回戦が不出場。2回戦は強行出場したものの、目立った活躍はできないで敗退している。夏はオリックスが「外れ1位」で指名した今村文昭の九州学院に、熊本大会準決勝で敗れている。
「安藤さん、荒木で来ました」
国吉アナウンサーは当然のように、ぼくにコメントを求めた。
「足も速くて肩も強いと聞いています……」
そのプレーを見ているはずなのに、記憶がない。ドラフト候補選手を整理した際、高校生ショートとして名前をリストアップした微かな記憶を手繰り寄せながら、いかにも自信なさそうに話すことになった。
野崎さんが隣から、「福留くんを狙っていたわけですから、高校生を育てていこうということでしょうね」とフォローして下さったのは覚えている。
野球記者として不明を恥じるばかりである。
星野仙一の怒り…ドラフト自己採点は「2点!」
中日としても、本来は3位か4位で指名する予定だったと、のちに聞いた。抽選に2連敗した星野監督が、頭に血が上り過ぎたのか、再々入札で指名する選手については「お前らで決めろ!」と編成スタッフに告げたらしいことも知った。
星野監督はドラフト会議後の囲み取材でも「福留を外したのがすべて。あとは野となれ山となれ! だ」と語っている。
自己採点を聞かれると、「2点!」と自虐的に答えたという。
ちなみに巨人の長嶋監督も「1位は運がなくてチャンスを逃しました。佐々木君の強運に屈したね。あとは予定通りだけど、1位がねえ。満足度は70%かな」と悔しがっている。
さて、晴れて1位指名された荒木の心境はどうだったのだろうか。
「ウソだろ? 勘弁してくれよ」
そんな心境だったと、のちに打ち明けている。
ちなみにテレビ中継でインタビューは実施されなかったが、高校で実施された記者会見では、こう語った。
「中日は好きな球団ですし、しかも、上位で指名してもらえるなんて、驚いています。足が震えてしまいました」
そして、きっぱりと宣言している。
「福留君には絶対に負けたくありません」

