プロ野球PRESSBACK NUMBER

「行くか、行かないか」巨人・織田翔希“強行指名”の舞台裏〈松井秀喜監督誕生〉前夜の緊迫「編成本部長の顔は強張ったまま」ドラフト会場で何が起きたか

posted2026/10/24 11:30

 
「行くか、行かないか」巨人・織田翔希“強行指名”の舞台裏〈松井秀喜監督誕生〉前夜の緊迫「編成本部長の顔は強張ったまま」ドラフト会場で何が起きたか<Number Web> photograph by Yuki Suenaga/JIJI PRESS

巨人の横浜高・織田の強行指名は大きな注目を集めた

text by

佐井陽介

佐井陽介Yosuke Sai

PROFILE

photograph by

Yuki Suenaga/JIJI PRESS

 2026年のプロ野球ドラフト会議は、巨人による織田翔希投手(横浜高)の強行指名に注目が集まった。松井秀喜・新監督が就任した新生ジャイアンツの“覚悟”、その陰でしたたかにサプライズ指名を繰り出した阪神が描く“青写真”とは――。〈ドラフト会場ドキュメント 全2回の前編/後編に続く〉

◆◆◆

 顔を強張らせたまま、体の前で両手を重ねた。超有望株の“一本釣り”に成功した直後だというのに、巨人編成部長の水野雄仁は約3分間の囲み取材中、一瞬たりとも笑みをこぼさなかった。

「行くか、行かないか、という気持ちだけで。球団の中でもいろいろ話をしましたが、我々も決断したというだけですね」

ADVERTISEMENT

 どんな批判も受け止める――。そんな悲壮感にも似た覚悟が表情と所作からにじみ出ていた。

 一方、水野の立ち位置から3mほど右にズレた場所では、阪神監督の藤川球児がスラリと背筋を伸ばしていた。ドラフト会場の真裏にある取材スペース。今季セ・リーグ1位の阪神と同2位の巨人はブースが隣り合っており、取材開始のタイミングも偶然かぶっていた。

 阪神は阪神で、意中だった外野手の単独指名に成功していた。神妙な表情を崩さない水野をよそに、藤川はときに目尻を緩ませながら1位指名選手にまつわるジョークまで飛ばしていた。

「名字の中に阪神の『神』が入っていましたから、縁があるんじゃないかなと。それは冗談ですけどね」

 2人の顔つきとコメント内容は一見、対照的だった。だが、その単独指名の舞台裏をのぞけば、両者、両チームの確固たる信念が如実に浮かび上がってくるのである――。

織田をめぐる駆け引き

 10月22日の午後5時が近づいていた頃、東京都内の品川駅から徒歩5分に位置するドラフト会場は例年になく、緊迫感に包まれていた。超目玉の不在がささやかれ、事前に1位指名選手を公表した球団はゼロ。これは2013年以来、実に13年ぶりのレアケースである。1位指名スタートの直前まで各球団のシミュレーションが続く。そんな中、1人の高校生投手を巡る駆け引きも最終局面を迎えていた。

【次ページ】 「強行指名、ありそうだな」漂う緊張感

1 2 3 NEXT
#松井秀喜
#読売ジャイアンツ
#藤川球児
#阪神タイガース
#横浜高校
#織田翔希
#明治大学
#榊原七斗
#水野雄仁

プロ野球の前後の記事

ページトップ