炎の一筆入魂BACK NUMBER
「夜中に飛び起きてシャドーを繰り返したり…」暗中模索の日々を乗り越え、カープの投手最年長・大瀬良大地がようやく掴みつつある復調の気配
text by

前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2026/08/20 06:32
今季は一軍で2試合の登板にとどまる大瀬良
「“自然体”が変わっていけばいい。マウンドでは何も考えないでいいように、とにかく登板日以外で矯正や強化できることをやっていくしかない」
違和感の正体を探るのではなく、新たな自然体をつくり上げることで違和感は消していくことにした。迎えた8月15日ファーム・リーグのオリックス戦では5回5安打で1失点に抑えた。
「感覚は良かった。投げたいところに投げたい球を投げられている心地よさが、久しぶりにあった」
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術後初めて得た好感覚だった。ただ、すでにシーズンは終盤。チーム内の争いでも後れを取っている現実がある。一軍ローテへの昇格候補は、右足首の捻挫から復帰した玉村昇悟が先を行く。そういったチーム事情や自身の立ち位置からも、一軍での居場所は先発ではないかもしれない。チームのために身を粉にして歩んできたプロ野球人生。今さらポジションや役割にこだわりなどない。
「僕に需要があれば、リリーフでも何でもやらせてもらう。とにかくチームに必要とされることが自分にとってのモチベーション。まずはそのレベルに上がっていかないといけない」
チームに“必要とされる”ことが、大瀬良にとってより大きな意味を持つ。
プロとしてあるべき姿
広島は今年、大きく揺れた。グラウンド外の問題はまだ終息していない。一軍で戦うチームメイトの思いは痛いほど分かる。そんな状況下で現場の選手たちにできることは限られる。
「僕たちには目の前の一球に懸ける姿を見せることしかできない。プロ野球選手として当たり前ですけど、こういうときこそ泥臭く。勝敗は相手があることではありますけど、目の前の一球への執念は常に見せられる。そうやることで、明日につながっていくのかもしれない」
今はまだ表舞台にいない。この先、一軍の舞台に戻れる保証はどこにもない。いつ声がかかるのかも分からない。それでも、何度も故障を乗り越えてきた35歳は、もう一度“必要とされる”場所を取り戻そうとしている。
