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審判たちの甲子園BACK NUMBER
「なんか嬉しかったな。これが高校野球や」9回2死、6点差でも日本文理は“諦めていなかった”…2009年の奇跡「終わらない夏」を体感した審判たちの証言
text by

安藤嘉浩Yoshihiro Ando
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/08/14 06:00
2009年、夏の甲子園決勝。中京大中京と対戦した日本文理は、6点差の9回2アウトから驚異の粘りを見せた
堂林翔太が奪えなかった「最後の1アウト」
ただ、その直後の6回の攻防で明暗が分かれる。日本文理は無死一、二塁の好機をつくったが、堂林から森本の継投にかわされる。その裏、中京大中京は2死満塁から堂林の勝ち越しタイムリーを皮切りに一挙6得点と畳みかけた。
8-2。その後、2点ずつを取り合ったが、結果的に6回の一挙6点が決定的な差となり、10-4で9回を迎えた。
優勝へ、あと3アウト――。最後の守りにつく中京大中京は、6回途中から救援した森本を一塁の守備に回し、ライトの守備についていたエースの堂林を再びマウンドにあげた。
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その判断について、監督の大藤敏行に聞いたことがある。
堂林は春に左ひざを痛めて全治3カ月と言われながらも、懸命のリハビリと練習で復活し、最後の夏を迎えていた。その姿を見てきたからこそ、「あの場面で投げさせない方が高校野球ではないと思った」という。
投手交代を受け付けた球審の日野をはじめとする4人の審判員に、特別な感情や感慨はない。もとより、試合運営と1球、1プレーのジャッジに集中しているのだから当然のことだ。
とにかく、点差は6点もある。一塁側の日本文理ベンチは最後まであきらめない姿勢を見せ、アルプス席が大きな応援を送り続けるものの、見逃し三振、遊撃ゴロで簡単に2アウトとなった。
堂林はマウンドに戻り、まだ6球しか投じていない。
ここから、最後の1アウトをとれず、25球を投げ続けることになる。
<続く>

