- #1
- #2
審判たちの甲子園BACK NUMBER
金足農の“サヨナラ2ランスクイズ”敗者の悲劇「近江の2年生捕手は立ち上がれず…」なぜ審判は動かなかった?「私らがいらんことするのは、よくない」
posted2026/08/13 06:01
2018年夏、林優樹と2年生バッテリーを組んだ近江の有馬諒。金足農の2ランスクイズでサヨナラ負けを喫し、グラウンドに崩れ落ちた
text by

安藤嘉浩Yoshihiro Ando
photograph by
JIJI PRESS
◆◆◆
2018年夏の甲子園準々決勝。金足農と近江の熱戦で三塁塁審を務めていた堅田外司昭は、1979年、延長18回に及ぶ名勝負の末に箕島に敗れた星稜のエースだった。
「最後までなにがあるか分からんのが甲子園なんよ」
ADVERTISEMENT
自身は伝説の試合で、2死から2度、同点本塁打を打たれてしまった。
9回裏、球場の雰囲気が変わった瞬間
ちなみに、球審の田中豊久にとっての明徳義塾対瀬戸内のような一戦が、堅田にもある。2016年夏の準々決勝、作新学院(栃木)対木更津総合(千葉)。今井達也と早川隆久の投手戦となり、3-1で今井の作新学院が勝利した。試合時間は1時間41分。
「ぼくは下手くそな審判やったけど、球審として、この試合はベストのジャッジができたと思う。両投手の素晴らしいピッチングのおかげで、自分も気持ちがのった。思い出深い試合やね」と懐かしむ。
話を金足農対近江に戻そう。9回表、金足農の吉田輝星は無死一、二塁のピンチで三振をとったあと、相手の送りバントを阻止した。最後も三振でピンチを切り抜ける。
最後の攻撃に弾みをつけるようなピッチングで、足取りも軽く一塁ベンチに引き揚げた。
その裏、金足農は先頭の高橋佑輔が三遊間を破る安打を放つ。
「このあたりから、球場の雰囲気が変わっていったね」と三塁塁審の堅田は言う。
「いつも集中しているつもりやけど、より注意して、1球1球に集中しようと思っとった」
金足農の応援ソングに合わせた手拍子が、次第に球場全体に広がっていく。
続く菊地彪吾もバントをせず、打って出る。レフト前安打で、無死一、二塁。
「球場の雰囲気が明らかに変わった」と球審の田中も察知した。

