野ボール横丁BACK NUMBER

「自分だったら…」拓殖大・馬淵烈監督が明かした、大バッシングを浴びた父・馬淵史郎監督「松井秀喜5連続敬遠」への本音 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

PROFILE

photograph by馬淵烈さん提供

posted2026/09/23 17:03

「自分だったら…」拓殖大・馬淵烈監督が明かした、大バッシングを浴びた父・馬淵史郎監督「松井秀喜5連続敬遠」への本音<Number Web> photograph by 馬淵烈さん提供

孫の遼正(りょうま)くんを抱き笑顔の明徳義塾高校・馬淵史郎監督(右)。息子で拓殖大の馬淵烈監督(左)は、侍ジャパンU-18 代表を率いた父の応援にも駆け付けた

春夏通じて40回、チームを甲子園に導いた明徳義塾の名将・馬淵史郎監督と、息子で拓殖大学野球部の馬淵(つよし)監督。父子に共通するのが、勝利への執念だ。コロナ禍で春夏の甲子園が中止となった2020年。各地で開催された交流戦では、最後の夏を迎えた3年生への親心と勝利の間で多くの指揮官が揺れるなか、史郎は対戦相手を徹底的に研究し、貪欲なまでの勝利への執念を見せていた。(全3回の第3回/第1回第2回も公開中)

◆◆◆

 烈にも似たような出来事があった。烈は監督就任以降、12シーズンで一度だけ優勝したことがある(2020年春季リーグ戦は新型コロナの感染拡大で開催中止)。しかし、それは不完全なシーズンでもあった。

 依然として新型コロナが猛威を振るっていた2021年秋のことだ。4部からなる東都大学野球リーグのクライマックスは、ある意味で、入れ替え戦である。1部で優勝争いしているチームと4部で最下位に沈む可能性のあるチーム以外は、常にそのプレッシャーを感じながら戦わなければならない。入れ替え戦は東都の宿命であり、醍醐味ともいえた。

ADVERTISEMENT

 ところが、2021年秋のシーズンに限っては、その入れ替え戦を行わないという異例の措置がとられた。オフ中にクラスターが発生し、活動停止に追い込まれた大学等があったため、公平性を保つ上での苦渋の決断だった。

 戦う意味の半分をもぎ取られたシーズンと言ってもよかった。

 監督として3季目のシーズンを迎えていた烈は、仕方ないことだと思いつつも、納得はしていなかった。

「まだ、鼻息荒いというか、青臭いときでしたからね。選手も落胆して、練習に身が入らない状態が続いていた。だから、キャプテンに『もう、やめてくれ』って言ったんです。こんな感じで練習していてもしょうがない、だったら下級生に切り替えるから、ハッキリさせて欲しい、と」

流れを変えた4年生の言葉

 烈は選手たちだけでミーティングをやるよう指示を出し、回答を待った。キャプテンの答えは「もう一度、やらせてください」だった。

「僕も、じゃあ、本気でやろうぜ、と言いました。ミーティングのとき、控えの4年生が『最後までやりたい』と発言したことで、流れが変わったみたいですね」

 シーズンが開幕すると、拓殖大以外のチームは予想通り、本気で勝負にきているとは言い難い選手起用や采配が散見された。烈が回想する。

【次ページ】 息子がみた「松井秀喜5連続敬遠」

1 2 3 NEXT
#馬淵史郎
#馬淵烈
#明徳義塾高校
#拓殖大学
#松井秀喜
#星稜高校

高校野球の前後の記事

ページトップ