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板東英二79歳が言った「野球は、嫌いですわ」その本当の意味…取材には警戒心「またおちょくられるんか、と」タレント活動で上書きした“野球人の顔”
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph bySankei Shimbun
posted2026/08/09 17:00
2011年、日韓ドリームゲームで中日のユニフォームを着て登板した板東英二さん。心の底には常に「野球」があった
芸人ばりのトークで人気を博し、人生を曝け出してまで笑いを取ってきた板東が、なぜ自身の成績について積極的に語りたがらないのか。そんな疑問がずっとあった。
「またおちょくられるんか、と思った」
プロ11年間で通算77勝、二桁勝利は5回。超一流とは言い難いが、十分に誇れる数字である。それでも板東に成績のことを尋ねると、苦虫を噛み潰したような顔をする。
「何の関心もないですから。プロ野球の記録なんてテレビで言う必要ないですもん」
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取材のために用意した資料を見せると、「ほ~、こんなの初めて見ましたわ」と少し驚いた様子だった。そしてしばらくの間、まるで機密事項のファイルを手にするかのようにマジマジと見つめていた。
「3年連続二桁勝利してたんですね。今の阪神にいたらえらいこっちゃですよ」
初めて知ったかのようなリアクションで話す板東。でもそれは、「タレント・板東英二」としての擬態だとすぐにわかった。引退して何十年経とうが、自分の記録は絶対に覚えている。特にピッチャー出身者の記憶力が抜群に良いというのは、取材を通じて嫌というほど見てきた。
なぜ、板東はとぼけ続けるのだろうか。どうしても真意を知りたく、張りつめた空気の中で丹念に中日時代のことを尋ねた。
いつしか取材時間は1時間半を越えようとしていた。ここで観念したかのように、強張っていた板東の顔が柔和になった。
「最初、中日時代の取材の話だと聞いたとき、またおちょくられるんか、と思った。でも真剣さが伝わりました。これ、ちょっとコピーしていいですか」
板東がマネージャーに資料のコピーを命じてから、ようやく、本来の切れ味鋭い板東節が炸裂するようになった。
「なんでプロ野球選手になったのか…」
板東にとって、野球とはなんだったのか。
「勉強とか他の技術なら反復したり、寝ないでやり続ければ成果があがるものだけど、野球というものは持って生まれたもので戦わされる。努力だとか根性だとかで報われるものじゃない。だからプロ野球に入ることなんかまったく考えてなかったし、今でもそれほど野球を芯からは……」
続く言葉を自ら遮る。ためらいがあった。さっきまで平気で「野球が嫌い」と言いまくっていたのが、このときだけは詰まった。
「なんでプロ野球選手になったのか、いまだにわからない」

