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「南野拓実なら外さない。これ、勝てるぞ」カタールW杯・森保ジャパンの名参謀が語った“PK戦の誤算”「森保さんがPK戦で負けるのを見たことがなかった」
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2026/06/29 11:03
カタールW杯クロアチア戦のPK戦で1人目のキッカーとしてペナルティエリアに立った南野拓実
「拓実なら外さない。しかも、スムーズにオーダーが決まった。これ、勝てるぞって。元々、森保さんはPK戦に強い。広島時代の'13年に、天皇杯で2回PK戦で勝っていますし、東京五輪の準々決勝でも立候補制でニュージーランドに勝った。僕は森保さんがPK戦で負けるところを見たことがなかったんです」
さっそく、南野がペナルティスポットに向かった。蹴るコースはすでに決めていた。当時の心境を、本人から聞いたことがある。
「右上へ。練習での感触も良かったですし、自信もありました。真ん中にインステップでズドンというのも考えましたけど、芝が少しぬかるんでいたんです。思いっきり蹴った場合、軸足が滑る可能性がある。だから、軸足に体重を乗せすぎないようにしながら、右上に強いボールを蹴ろうと」
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優しく踏んで、強く蹴った。しかし、駒野の場合とは逆に、ボールが浮き上がることはなかった。ゴール“右下”へ向かった軌道の先を、GKドミニク・リバコビッチの両手が塞いだ。横内の予感は、外れた。
PK戦は「運」か「実力」か
カタールW杯終了以来、横内はクロアチアとのPK戦の映像をしっかりと見返したことがなかった。約3年ぶりに、南野に続き、三笘、吉田が失敗する結末を見終えると、温和な笑みとともに言った。
「本来の拓実の技術と精神力があれば、絶対に右上のコースに蹴れるはずなんです。でも、W杯ではできなかった。それをミスや実力不足と言っていいのか……」
PK戦は「運」か「実力」か――。
カタール大会でもベスト8への壁に阻まれたことで、世間ではそんな議論が巻き起こった。
W杯でPKを失敗したことのある日本人4人のうちの1人、駒野の見解はこうだ。
「PKを外してしまった後の人生を考えたとき、それを運で片づけてしまうと、成長はないと思っています。運ではなくて、僕はGKが左に動くのが目に入ったことで、想定よりも上へ蹴ってしまった。キックの精度を備えたうえで、いかにして相手との駆け引きに勝つかが大事なんじゃないかって。じゃあ、どうすればあのとき、PKを決められたのか。その謎は、まだ解けていないんですけどね」
現在、駒野は自身も青春時代を過ごした広島ユースでコーチを務めながら、日本サッカー協会のProライセンス取得を目指している。教え子たちからすれば、偉大なクラブOBであり、W杯に2度も出場したレジェンドだ。好奇心旺盛な若者は、幼い頃にテレビで見た「あのシーン」について、勇気を出して質問にやって来る。
〈南アのとき、どんな気持ちでしたか?〉
繊細な内容なだけに、遠慮がちな顔の後輩たちに、駒野は胸を張って言う。



