オリンピックPRESSBACK NUMBER
陸上女子トラック「最古の日本記録」はいつ破られる? 「壁に感じている部分がある」日本選手権で4度目の優勝にも笑顔ナシ…29歳“400m女王”の決意
posted2026/06/14 17:00
日本選手権で4度目の優勝を飾った松本奈菜子(東邦銀行)。12年前の初優勝以来、第一人者として活躍。日本記録の更新は悲願でもある
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Asami Enomoto
笑顔なき優勝だった。
陸上・日本選手権の女子400mで松本奈菜子(東邦銀行)は、2年ぶり4回目の日本一に輝いた。それにもかかわらず、曇った表情を浮かべて、速報記録が表示されたスクリーンを凝視していた。
「記録を狙っていたので、きちんと結果を出せないことがすごく悔しいです」
ADVERTISEMENT
「昨日(予選)の感じや今日のアップのコンディションも良かったので、自分の中でも“いける”という感覚がありました。心身ともに充実していただけに、自分でもがっかりだなっていう感じがしています」
レース後のインタビューでも、勝者らしからぬ言葉が並んだ。
松本が今大会で目指していたのは、今秋の愛知・名古屋 2026 アジア競技大会の派遣設定記録51秒97だった。2008年から更新されずにいる日本記録(51秒75)も当然視野の内にあった。
それだけに、日本一の座を取り戻しても、予選52秒42、決勝52秒94というタイムには全く喜ぶことができなかった。
「自分の400mのレース構成があまり上手にできなかった。予選ではコーナーから直線に抜けるところがうまくできなかったので、遠心力を利用しながら、その勢いとスピード感を持ってレースの流れを作ろうと思い、決勝では修正したんですけど、うまくいきませんでした」
自分の感覚以上にタイムも遅く、会心のレースには程遠かった。
高3時の2014年…初の「400m女王」に
静岡県出身の松本は、中学時代から全国区の活躍を見せてきた。
もっとも、中学時代は800m、1500mの中距離選手で、学年別のジュニアオリンピックでは2年時に1500mで優勝。3年時には全国中学校体育大会の800mで当時の中学歴代2位の好記録をマークして日本一に輝き、1500mでも7位入賞を果たした(中学時代にも400mを走っているが、全国大会では女子400mは非実施)。
全国屈指の陸上の名門・浜松市立高に進学し400mをメインに競技に取り組むと、ロングスプリンターの才能はすぐに開花する。

