サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER

「トップチームでは使えないよ」長谷川健太は久保建英を“特別扱い”しなかった「FC東京に戻らないことも覚悟して…」名将に聞く“天才が変わった日” 

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2026/06/14 11:41

「トップチームでは使えないよ」長谷川健太は久保建英を“特別扱い”しなかった「FC東京に戻らないことも覚悟して…」名将に聞く“天才が変わった日”<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

幼い頃から“神童”として注目され、期待通りの成長を遂げた久保建英。だが、そのウラには「プロの壁」にぶつかった1年があった

「競争に勝たないと出られないよ」特別扱いは一切なし

 まずは好きにやらせてみてから、というスタンスで、長谷川は久保と接していた。しかし、戦力になってもらうためにも、具体的な指導に乗り出していく。

「自分はどこが主戦場なのか、という話をしました。ペナルティエリアの右角45度なら、そこでボールを受けられるようにポジションを取らないといけない。ハーフライン付近でボールをもらっても、彼のいいところは出ない。ペナ角右45度でいかにボールを受けるのかを考えたらいいんじゃないか、という話をしました」

 久保のリアクションは、必ずしも期待したものではなかった。それも、長谷川には想定内である。

ADVERTISEMENT

 長谷川が指摘すると、久保が「でも、点を取ってますよね」と言う。「アシストもしていますよね」と言う。長谷川は「それはBチームの試合で、まだAチームに入れるレベルではない。チームの一員としての役割を果たせるようにならないと、トップチームでは使えないよ」と奮起を促した。

「本人なりに思うところはあったのでしょうし、彼は自分の意見をはっきり言うタイプです。それも感情的ではなく、理路整然とロジカルに話す。そういう意味では、とても大人びていましたよ」

 FC東京の関係者やファン・サポーターはもちろん、日本サッカー界に関わるすべての人々にとって、久保は超新星である。足りないところには目をつぶって、使いながら育ててもいいのでは、との意見もあったに違いない。意見ではなく圧力として、長谷川に向けられたものもあったかもしれない。

 だが、「いや……」と長谷川は切り出す。

「それをやったら、彼が潰れちゃうと思いました。試合に出られるレベルに達していないのに使っても、彼自身の今後につながっていかないと判断しました。クラブの期待、ファン・サポーターの期待はもちろん大きかったと思いますが、あくまでも競争に勝たないと出られないよ、そのために何をしなければいけないの、ということです」

 そう言いつつも、長谷川は開幕戦から3試合連続で途中起用している。開幕から10試合のうち9試合でメンバーに加え、8節でも追いかける展開でピッチに立たせた。間違いなく期待はしていたのだろう。

移籍を望んだ久保「戻ってこないことも覚悟した」

 久保の思いは微妙に違った。出場機会が得られていない状況を踏まえて、移籍を志願したのである。

 長谷川はもちろん慰留した。同時に、自らの起用法に納得していないことを理解していた。8月16日、同じJ1の横浜F・マリノスへの期限付き移籍が発表されたのだった。

【次ページ】 「何でも言ってください」FC東京復帰後の“変化”

BACK 1 2 3 NEXT
#長谷川健太
#久保建英
#堂安律
#FC東京
#ガンバ大阪
#バルセロナ
#レアル・マドリー
#レアル・ソシエダ
#北中米W杯

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ