- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「羽月にはすごい成長を感じる」広島・新井監督が激賞したとき羽月隆太郎はすでにゾンビたばこを…「野球しかしてこなかった」26歳が失ったもの
text by

赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/06/05 11:02
俊足と走塁術を武器に、小さな体で地位を固めつつあった羽月。愚かな過ちで失われた輝きを改めて振り返る
羽月が一塁からリードを取ると、島本はベースに釘付けにするかのように計4度けん制を繰り返した。しかし、1死を取ってから次打者・野間峻祥に初球を投げた瞬間、羽月がスタートを切る。ヘッドスライディング! セーフ! スタンドから大歓声が上がる。
微妙なタイミングに阪神・岡田彰布監督がすぐさまリクエストしたが、リプレー検証の結果、判定は覆らず。島本は動揺したのか、野間に四球を与えてしまい、石井大智に交代となった。
「警戒されてる中で行くのは不利なことなんですけど、そこで行ってこそ自分の役目というか、切り札と言われると思うんで、恐れず行きました。(岡田監督のリクエストは)先に(ベースに)手が入ったな、という感覚はありました。審判次第ですが、セーフになったんで」
ADVERTISEMENT
石井が次打者・石原貴規に投げると、羽月が三塁へ走る。また初球だ。またヘッスラでセーフ! 観衆のボルテージがさらに上がる。
石井は石原に四球を与え、満塁。勝ち越しを期待する声援が高まる。しかし、次打者の菊池涼介は空振り三振に倒れて2死。スタンドの興奮が萎みかけた矢先、続く堂林翔太が打席に入った。
初球が変化球なのはわかっていた
石井の投じた変化球がワンバウンドし、ファウルグラウンドに転がった。羽月が三塁から躊躇なく突っ込む。3度目のヘッスラでまたもセーフ! 立ち上がってガッツポーズをした羽月のユニフォームの胸元がビリビリに裂けていた。
「(三塁コーチの)赤松(真人)さんと話をして、『初球狙っといて』と言われてたんです。(暴投になったのは)スライダーかカーブですね。初球が変化球なのはわかってたんで、思い切って行こうと思ってました。わかったのは、データとか、いろいろです。ひとつの確信を持ってたんで、行きました」
なぜ石井が初球に変化球で入るとわかったのか、羽月は詳しい根拠を明かしていない。ただ、本塁を陥れる準備ができていたことだけは強調していた。

