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落合博満が認めた「お前との勝負は三振でいい」“落合の天敵”盛田幸妃とは何者だったのか? 大酒飲みの無頼漢が“奇跡のリリーバー”と呼ばれるまで 

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松永多佳倫

松永多佳倫Takarin Matsunaga

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photograph bySankei Shimbun

posted2026/05/30 11:20

落合博満が認めた「お前との勝負は三振でいい」“落合の天敵”盛田幸妃とは何者だったのか? 大酒飲みの無頼漢が“奇跡のリリーバー”と呼ばれるまで<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

横浜時代の盛田幸妃。シュートを使った強烈な内角攻めで、落合博満をはじめ右打者に対して無類の強さを誇った

「何度も痙攣が…」妻が明かした“脳腫瘍の初期症状”

 妻の倫子は、ゆっくり言葉を紡ぐように当時のことを述懐する。

「関東遠征のときは(横浜の)家から通っていたので、8月頭のロッテ戦の前日だったと思います。就寝中にひどい揺れを感じて真夜中に起きたんです。横を見たら夫が右足から全身にかけて痙攣していた。数分しておさまると、すぐに問い詰めました。そうしたら2カ月前から何度も痙攣が起きていると答えるので、『すぐ病院に行って』と強く念を押しました。それがまさか……」

 当初、盛田は単なる疲労によるものだと思っていた。

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 しかし痙攣は続いた。日を追うごとにその範囲が広がっていき、やがて日常生活にも支障をきたすようになる。運転中に右足の動きが悪くなる、スリッパを履いても脱げてしまう……。明らかに右足首の力が弱くなっていた。

 8月7日のロッテ戦では、試合前の練習中から痙攣が始まり、走れなくなっていた。右足全体をテーピングで固めても膝がガクガクと震えて止まらない。血の気が引くように悪寒がし、腕も痺れている。

「盛田、行ってくれ」とコーチに言われ、ブルペンで肩を温めることもできないままマウンドに向かうものの、マウンド上でも痙攣は容赦なく襲ってきた。いかに無頼の盛田でも、この状況はどうにもならない。ストライクがまったく入らず、3つの四球を出して降板。

 やがて痙攣が始まると、足だけでなく体全体が震え出すようになり、周囲にも「盛田の様子がおかしい」と異変が知れ渡っていく。

 8月12日、福岡ドームでのダイエー戦を最後に登録抹消。大阪に戻って病院で精密検査をすると、左側頭部に直径5センチほどの腫瘍が見つかった。

「病院でレントゲンを見たら、脳室が5センチほどの腫瘍で潰れているのがわかる。これを取れば治るんだろうなという感覚でしかなかった」

 脳腫瘍と診断されても盛田は特段のショックを受けなかった。「手術すれば2週間くらいで復帰できるだろう」と、胃のポリープ手術のような感覚でしかなかった。だが、この瞬間から始まった病との闘いは、盛田を終生苦しめることになる。

<続く>

#2に続く
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