甲子園の風BACK NUMBER
大社と早稲田実業“じつは甲子園から続いていた”意外な関係「石飛です」「何しに来るんだよ」神バント、内野5人シフト…伝説的試合から2年、再戦の結果は?
posted2026/05/24 11:03
大社・石飛文太監督と早稲田実業・和泉実監督。5月6日撮影
text by

井上幸太Kota Inoue
photograph by
Kota Inoue
練習試合なのに…観客ズラリ
ゴールデンウィーク最終日の5月6日。島根県出雲市の“ある場所”は賑わいに包まれた。参拝者でにぎわう出雲大社……ではなく、そこからほど近くにある、島根県立大社高校のグラウンドである。
この日は、練習試合が行われていた。大社のマネージャーが数えたところ、観客は「502人」に上ったという。バックネット裏に即席の観客席が設けられ、グラウンド外周にも観客がズラリと並んだ。
大社と早稲田実業。高校野球の歴史に残る激闘を繰り広げたカードの、再戦が行われたのである。
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2024年夏の甲子園、32年ぶりに甲子園に乗り込んだ大社は、初戦で優勝候補の報徳学園を撃破するなど、「大社旋風」と称される快進撃を見せた。旋風が最も激しく吹き荒れたのが、早実との3回戦だった。
奇策、神バント…2年前の名試合
戦前は早実有利と目されながら、大社が食らいつく。9回に大社がスクイズで同点とし、なおもチャンスを拡大。すると、早実が「内野5人シフト」の奇策で併殺を奪ってサヨナラを阻止した。延長11回には代打で登場した大社の2年生・安松大希が、公式戦初打席で三塁線に「神バント」を決める。続くエースの馬庭優太が執念のサヨナラ打を放ち、両手を広げながら一塁へと駆け出した。
早実を率いる和泉実は「神様から降りて来たんだよ。『今やれ』って」と内野5人シフトをひらめいた。大社の監督である石飛文太は、延長戦の最中、ふとブルペンでボールを受ける控え捕手の安松が目に留まり、ベンチに呼び寄せたことで代打起用に発展した。
“天啓”とも言える両指揮官の奇策が勝負所で決まり、激闘を名勝負へと昇華させた。ナイター照明に照らされる中での激闘は、「令和の神様が創った試合」と言えるのではないか。
甲子園での名勝負から627日。あの試合に魅せられた者たちにとって、見逃せない再戦となった。


