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大社と早稲田実業“じつは甲子園から続いていた”意外な関係「石飛です」「何しに来るんだよ」神バント、内野5人シフト…伝説的試合から2年、再戦の結果は?
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井上幸太Kota Inoue
photograph byKota Inoue
posted2026/05/24 11:03
大社・石飛文太監督と早稲田実業・和泉実監督。5月6日撮影
「早稲田実業に“直電”しました」
両校の試合は朝9時にプレーボールがかかった。
4回に、早実の4番で1年生の中津井琉真の本塁打で先制点を挙げた。追う大社は5回に内野安打で出塁した走者を2つのバントで進め、3番の原田悠翔の適時打で追いつく。原田は、2年前も唯一1年生でベンチ入りしていた選手でもある。そして、7回1死三塁のチャンスで、大社が“宝刀”であるスクイズで勝ち越し。続いて適時打も飛び出し、そのまま大社が3-1で勝利した。
和泉と石飛の本格的な交流が始まったのは、甲子園での激闘から約半年が経った、2025年2月のことだった。大社に関東の大学を志望する選手がおり、セレクションの引率で東京に向かう機会があった。石飛が思い起こす。
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「合間に自由に動ける時間があったので、『これは早実に行くしかない!』と思って。僕、甲子園で試合をして和泉さんと知り合いになった気でいたんですね。でも、よく考えたら連絡先も知らなかったんですよ。だから、学校に直接電話しました。これ、“直電”って呼んでるんですけど」
野球部関係者を通じてお願いすべく、早実の代表番号に“直電”するも、あいにく窓口となる部長が不在。対応した事務員から「監督はいますが」と添えられる。
「なにしに来るんだよ…まあいいよ」
「言われた瞬間、ものすごい緊張してきたんです。いきなり監督かって。でも、せっかくつないでもらったので、『石飛です。伺ってもよろしいですか?』とお願いして」
この申し出に対し、和泉は「なにしに来るんだよ」と驚きつつも、「まあ、いいよ。来なよ。バントのやり方教えてくれよ」と了承した。
そして、2月15日。東京都八王子市にある練習グラウンドで顔を合わせた。和泉が電話口と同じく「なにしに来たんだよ」と投げかけ、石飛は「来たくて来ました」と返す。
石飛には目的があった。和泉が甲子園で「内野5人シフト」を敷いた真意を確かめることだ。「すごく浅はかな考えなんですけど」と前置きした上で続ける。



