甲子園の風BACK NUMBER
「大社の馬庭君はどうしてるんだろう…」早稲田実業“あの甲子園名試合”から2年…なぜ再戦が実現した?「実は島根って近いんですよ」「騙されねえぞ」
posted2026/05/24 11:04
2年前の甲子園で“伝説的な試合”を繰り広げた大社。写真はエースの馬庭優太
text by

井上幸太Kota Inoue
photograph by
JIJI PRESS
大社の監督である石飛文太と、早稲田実業を率いる和泉実の会話はこんな調子だったようだ。
「いつごろ山口遠征に行かれるんですか?」
「ゴールデンウィークだよ。毎年ではないけど」
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「和泉さん、実は山口と島根って結構近いんですよ」
「騙されねえぞ。3時間はかかるだろ」
「まるで旅行会社」石飛監督の誘い
和泉が苦笑しながら振り返る。
「ゴールデンウィークは南陽工業を中心に、そこから九州に行ったり、広島に行ったり遠征することが多かった。よく中国地方に行ってんだよと話したら、『和泉さん、ぜひ来てくださいよ』みたいな話になって。でも、去年から計画が立てづらくなったから、『行けたらな』みたいに濁してた」
即答をためらった理由は、昨年から変更された春の東京大会の日程だった。2024年までは4月中に大会が閉幕していたが、昨年から大会の終盤が連休に差し掛かる日程に刷新された。勝ち上がれば練習試合を断らざるを得ないため、長距離遠征を企画するのは、キャンセル料などの費用面でリスクを負うことになる。
早実グラウンドでの直談判は保留に終わるも、それから半年後に再び石飛が動く。
2025年9月、「練習試合、来ていただけないでしょうか?」とメールを送った。和泉からの返信は「わかりません」。負けじと石飛は長文のメッセージを追送した。和泉が半ば呆れ気味に笑う。
「そしたら、石飛くんが『この旅館なら1泊いくらで、新幹線で帰るなら一番近いのは福山駅で、本数が多いのは岡山駅で……』とか、旅行会社みたいなことをしてきたわけだ」
「よっしゃ!」和泉監督が承諾するまで
この時点では「行く」「行かない」の具体的な回答は得られなかったが、熱意は伝わったのだろう。そのまた1カ月後、和泉から「5月の練習試合の件、前向きに検討しようと色々考えています」とメールが届く。

