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「高田さんが危ない。いつ殺し合いになるか…」高田延彦vsバービック試合直前の“大事件”にUインターが揺れた日「死ぬ可能性もある」医師は告げた 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph by東京スポーツ新聞社

posted2026/05/16 11:03

「高田さんが危ない。いつ殺し合いになるか…」高田延彦vsバービック試合直前の“大事件”にUインターが揺れた日「死ぬ可能性もある」医師は告げた<Number Web> photograph by 東京スポーツ新聞社

「試合放棄」後に控室で髙田延彦を非難するトレバー・バービック

「髙田さんが危ない。いつ殺し合いになるか…」

 そんな中、世界的な実績があり、コンディションがある程度良くて今でも闘えるボクサーをボクシング界の大物プロモーターであるドン・キング経由で探したところ、浮上してきたのがトレバー・バービックだった。

「当時のバービックはボクサーとしてまだ現役ばりばり。86年にタイソンに敗れてWBCのタイトルを獲られるまでは、波に乗ってましたからね。その前(81年12月)にはモハメド・アリにも勝っていますし。それにあの時点で、すごくコンディションも良かったので、彼ならいけると思ったんです。

 それどころか、髙田さんが危ないと思いました。ネットで調べればわかりますけど、当時のバービックは私生活でかなり荒れていて、凶暴だったんです。こんなのと異種格闘技ルールで試合をしたら、いつ殺し合いになるかわからないような状態で。試合前に来日した時も、本当に燃えていましたからね」

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 実績十分、体調万全なバービックとの試合が正式決定し、あとは当日を待つばかり。そう思われたが、試合直前になって髙田のほうに大きな問題が起きてしまった。

「死ぬ可能性もある」医師は告げた

 その時の様子を元Uインター取締役の鈴木健はこう語る。

「試合前、バービック対策でヘビー級のボクサーを呼んでスパーリングをしている時、髙田さんの肋骨が2本折れちゃったんだよ。ドクターからは『もしアバラにいいパンチを入れられたら、折れた肋骨が肺に刺さって死ぬ可能性もある』って言われてね。あの時は、私と宮戸と安生の3人で『どうしよう……』ってホントに悩んだ。もうチケット売っちゃってるし、『これが全部返金になったらUインター潰れるよ』って話をしてたから。

 そしたら事務所に山ちゃん(山崎一夫)が入ってきて。『危ないから試合は中止しよう。こんなことやらせない方がいい』って言ってきたの。こっちは『簡単にいうなよ。それで済む問題じゃないだろ』って思いながら黙っているしかなかった」

 試合を決行すれば少なからず命の危険がある。しかし、試合を中止すれば会社が潰れかねない。Uインターは究極の選択を迫られていた。《つづく》

#3に続く
「KOじゃなくて殺してやる」高田延彦のローキックにバービックが激怒…「わずか2分52秒で試合放棄」Uインター“伝説の大荒れ試合”本当の舞台裏
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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