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「お前ちょっと座れ」中嶋聡監督に呼び出され…昨季引退のオリックス・佐野皓大が明かす野手転向と“恩師”の導き「もっと食らいついていけばよかった」
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米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2026/05/03 11:01
現役時代を振り返った佐野皓大さん。現在は球団職員としてチームを支えている(2026年1月撮影)
「スタメンで行く時は結果を残さなきゃいけない。僕は全試合出るわけじゃないので、1試合1試合にかかっていたから、不安はすごく強かったです。最後1イニング守ったり、大事な場面で代走で行くのも怖いですけど、それはその日に突然来るじゃないですか。でもスタメンは、相手の投手が左か右かでだいたい予測できるので、『あるんかな?』とずっとソワソワしていました。
もちろん代走もしんどいんですけど、そこはちょっとは自信があったので。失敗したら取り返しのつかない役割ではありましたけど。でも中嶋さんは、取り返すチャンスをくれていたので、やりやすかったのかもしれません。
やっぱり中嶋さんはすごくて、失敗した人に話しかけてくれるんです。僕も、盗塁失敗して落ち込んでいると、次の日に絶対話しかけてきてくれた。冗談半分でちょっとけなしながら声をかけてくれて、楽にしてくれる。だから『次また頑張ろう』という気持ちになった。そういう時って、話しかけてくれなかったら結構しんどいので、すごくありがたかったですね」
戦力外通告…引退決断のとき
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中嶋体制4年目だった2024年6月15日のヤクルト戦で、佐野は盗塁の際に右足首を負傷。これが最後の一軍出場となった。
「そこから状態が上がりませんでした。体の左右のバランスもおかしくなって、以前とは違う感覚になってしまった。武器が足なので、それが使えないとなると……」
ファームでは試合に復帰したが、結果は残せず、昨年オフに戦力外通告を受けた。
その後、CSファイナルステージや、ドジャースのワールドシリーズを観戦した。
「自分の気持ちが動くかどうかを確かめようと思ったのもあって、行きました。それでも野球をやりたい気持ちにならなかったので、もう、終わりかなって」
現役引退を決断した。
中嶋前監督に電話で引退を報告すると、「知ってる」といつもの素っ気ない返事が返ってきた。それでも「今後どうすんの?」と最後まで愛弟子のことを気にかけていたという。
〈つづく〉

