酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
村上宗隆67発ペースだけでない“異常データ”「二、三塁打ゼロ+最多三振ペース」「大谷翔平やトラウト並み打球速度」弱小Wソックスには“ある懸念”
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byMatt Dirksen/Getty Images
posted2026/04/28 17:01
メジャー1年目の序盤戦、ホームランを量産している村上宗隆。シーズン通じてどれだけの数字を残せるか
村上はNPB時代から三振の多い打者ではあった。ただ2022年に三冠王になったことからもわかるように、安打も長打も打てる打者だった。
3割を2回マークし、二塁打も毎シーズン20~30本を打っていた。最多三振も4回記録しているが、NPB時代はここまで極端な数字ではなかった。
村上の成績から読み取る背景
序盤戦に村上が残した成績から、いくつかの背景が読み取れる。
ADVERTISEMENT
村上のMLB挑戦の原点は2023年のWBCだといってよい。名古屋での強化試合で、大谷翔平の打撃練習をケージ裏で見て、バンテリンドームの最上段に達する大飛球を目の当たりにして衝撃を受けた。
飛距離だけではない。
弾道測定器トラックマンのデータで大谷の打球初速(Exit Velocity)が、NPBでは屈指の打球速度を誇る村上のはるか上を行っていることを知って、絶望的な気持ちになったのは広く知られる話となった。以後、村上は肉体改造をして筋力アップし、打球速度を上げ、MLBでも通用するスラッガーになろうとした。
「フライボール革命」以後、「三振は本塁打のコスト」という意識がMLBでは主流になりつつあったが、村上はまさにそれを信じてパワーアップしてきた。現時点での成績は、まさに村上の「努力のたまもの」ということができる。
“3年連続100敗以上”Wソックスという環境
もう一つ、環境的な要素もある。
村上が入団したア・リーグ中地区のシカゴ・ホワイトソックスは、2023年以降3年連続シーズン100敗、24年の41勝121敗(勝率.253)は、1962年のニューヨーク・メッツの40勝120敗(勝率.250)を更新する「MLB史上最多敗」だった。
チームは再建に尽力してはいるが、近年は早々にペナントレースから脱落し「解体モード」となり、次のシーズンへ向けてチーム作りを始めるのが恒例行事になっている。
今季は4月27日時点で12勝17敗(勝率.414)で地区4位と、かなり健闘している。その最大の要因が村上なのは間違いないが、もともと勝利に向けて執念を燃やすチームではないだけに、選手に対する縛りも緩い。
村上は、開幕戦から3試合連続で本塁打を打ち、一躍MLBの注目を集めた。しかしそこから当たりが止まり、16試合目の4月12日には打率.157まで低下したが、チームは村上をスタメンから外さなかった。選手層が薄く村上に代わる選手がいないのは確かだが、それに加えて負けが込んでもそれほど深刻に受け止めていないことも大きい。
言い方は酷だが〈弱いチームゆえ、村上は自分の打撃を自由に追求することができた〉という背景もある。

