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「プロは横一線じゃない、序列があるから行動する」育成出身、何度でも這い上がるカープ大盛穂が胸に期す、スタメン再奪取への決意

posted2026/04/27 06:00

 
「プロは横一線じゃない、序列があるから行動する」育成出身、何度でも這い上がるカープ大盛穂が胸に期す、スタメン再奪取への決意<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

4月7日の巨人戦で今季初本塁打を放った大盛

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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SANKEI SHIMBUN

 プロ野球の世界に「横一線」の争いなどないことを、大盛(みのる)は知っている。だからベンチで戦況を見つめる立場となっても、意識を他者に向けない。向けるのは、今の自分にできることだけだ。

 4月19日のDeNA戦までは、13試合連続でスタメン出場した。ドラフト1位・平川蓮の負傷離脱によって巡ってきた今季初スタメンとなった2日のヤクルト戦でいきなり適時打を放つと、4日の阪神戦では猛打賞をマーク。7日の巨人戦では今季1号本塁打を放つなど、低調な打線の中で切り込み隊長としての役割を担った。

 武器とする俊足ではチームトップの3盗塁で塁上をかき回し、高い守備力で投手を何度も助けた。15日の中日戦では1点リードの5回、先発・栗林良吏がこの日初めて得点圏に走者を背負った2死二塁の場面で、福永裕基が捉えた左中間への大飛球に好スタートで背走。そのままの勢いでダイビングキャッチを決めた。抜けていれば同点、さらには勝ち越しのピンチとなる場面をビッグプレーで救った。この日は9回2死からも、板山祐太郎の左中間への深い打球をフェンスに激突しながらつかみ取った。

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 だが、21日のヤクルト戦から再びベンチスタートが続いた。理由はいくつかある。

手応えと起用法の狭間で

 ひとつは負傷離脱していた平川の復帰だ。18日まで12試合連続で打順表の一番上にあった大盛の名前は、ドラ1の復帰によって下位へと下がった。

 打線全体の不調により、首脳陣がベテランの力を頼ったことも影響した。21日と23日のヤクルト戦では、外野の2枠で秋山翔吾、野間峻祥の経験者を起用。大盛は同じ左打ちのベテランに押し出される形となった。

 そして、大盛自身の打撃内容も悪化していた。スタメン出場を続けた間、2戦連続無安打はなかったが、最後のスタメン5試合は23打数3安打、11三振。明らかに状態は落ちていた。

「ひと周りしてから、ちょっと受けて入るようになってしまっていたので、間合いが変わってしまったところがあった」

 スタメン出場を続ける間も、報道陣にはポジションを争う選手のことばかり問われた。まだ復帰していない平川のこと、ベンチに座る秋山のこと──。

「正直、どうでもいいと感じていました。だって、自分が試合に出るか出ないかは自分では決められないですから。自分が結果を残せなかったら代えられる。残し続けたら試合に出られる。結局、自分次第。自分が打っていても代えられることがあると分かっている」

 昨季も同じだった。中村奨成が右肩痛で離脱した7月に出場機会を増やしたが、中村奨の復帰とともに減少。その間の打率が.258だった以上、受け入れるしかなかった。

「昨年までは自分でも打撃がいいとは思えなかったので、奨成が帰ってきてから(スタメンで)使われなくなっても、割り切って代走と守備固め、自分の役割をまっとうしようと」

【次ページ】 何度でも這い上がる覚悟

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