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「テンシンは自信を失っているのではないか」那須川天心が英国人記者の予想を裏切る“キャリア最高の出来”…井上拓真に完敗から4カ月半、何が変わった?
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/04/13 11:01
メキシコの英雄・エストラーダをTKOで下した那須川天心(27歳)。再び“世界の挑戦権”を得た
個人的な感想をいえば、エストラーダの出来はそれほど悪くはなかったと思う。全盛期は過ぎており、ベストではなかったが、それでも底力をアピールする瞬間は随所に見せていた。有効打も少なからずあったし、実際に私は序盤の4ラウンドまではかなり接戦だと思っていた。
ただ、長くフライ級、スーパーバンタム級で戦ったエストラーダにとってバンタム級はやはり本来の階級ではなく、おかげでエネルギーが少なかった。テンシンはより小さく、スローでもあった相手と戦うことで恩恵を受けたのは事実。スピード差は大きく、そこが違いになってこの試合をよりコントロールできていた。
無駄打ちがなかった那須川天心
5ラウンド以降はテンシンが支配した。ジャブは素晴らしかったし、距離のコントロールも明確だった。体格的にも大きく、リーチも長いから距離支配には有利だった。左パンチも機能していたし、何より重要なのは無駄打ちがほとんどなかったことだ。
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必要以上に大振りすることもなく、理由のない連打もなかった。すべてが計算されていて、効率的で、正確で、効果的だった。特に右アッパーは見事だった。サウスポーから外側でフェイントを入れて右アッパーを突き上げる動きは何度も決まり、ヒットした時にはすぐに追撃してダメージを与えにいっていたことも好感が持てた。

