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「井岡さんにはとても感謝しています」井上拓真が井岡一翔戦後に語った本音…最終ラウンド直前に父・真吾トレーナーにキレた「怒って言わないでくれって」

posted2026/05/22 17:02

 
「井岡さんにはとても感謝しています」井上拓真が井岡一翔戦後に語った本音…最終ラウンド直前に父・真吾トレーナーにキレた「怒って言わないでくれって」<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

井岡一翔とのWBC世界バンタム級タイトルマッチで大差の判定勝ちを収めた井上拓真のインタビュー(後編)

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Takashi Shimizu

5月2日に行なわれた“もうひとつのビッグマッチ”井上拓真vs.井岡一翔の一戦は、WBC世界バンタム級王者の井上拓真が大差の3-0判定勝利を収め、タイトルを防衛した。会心の勝利から約10日後、本人がその舞台裏を明かした。リスペクトするレジェンド・井岡一翔への特別な思いとはーー。<NumberWebインタビュー全2回の後編/前編も公開中>

兄・尚弥が“変態”と称した拓真のディフェンス

 5.2東京ドームもう一つのビッグマッチ、井上拓真と井岡一翔によるWBC世界バンタム級タイトルマッチは3ラウンドながら佳境を迎えていた。

 拓真が右アッパーを浴びせてレジェンドから再びダウンを奪う。時間はまだ2分以上も残っており、KO決着への機運が否応なく高まっていく。だがチャンピオンはその欲を封じていた。熟練の井岡に合わされかけた以上、深追いは禁物。1ラウンド終了時のインターバルでポイントアウトすると父に告げたとおりにやり切ろうとする。

「(田中)恒成との試合もそうでしたけど、井岡さんは返しのフックもある。危機的な状況にあってもメチャクチャ冷静で、しっかりカウンターで合わせてくるというのは父(真吾トレーナー)も言っていたし、自分のなかでもそう考えていた。だからダウンを取って、(KOしようと)もしバーッて行ったら絶対にあのカウンターがある。だから無理やりにでも倒しに行くなんていう選択肢はなかったです。経験値は井岡さんのほうがあるし、一瞬で流れが変わるのがボクシング。ダウンは気にせず、行き過ぎず、隙を与えずに勝ちに徹する。あとは(那須川)天心選手との試合でもそうですけど、ポーカーフェイスでやるべきことをやるだけでした」

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 警戒は解かない。いや2度のダウン以降は、よりその色を強める。ジリジリとプレスを強めてくる井岡の術中にはまらないよう、足とボディワークでパンチをもらいづらい位置を常にキープした。冷静に、確実に集中してポイントを取っていく。

 兄・尚弥が敬意を持って「変態」と評したように、ロープ際でのディフェンスは見事であった。相手の思惑を察知して2手、3手先を読むように「詰み」にならず、回避しては攻撃に転ずる。アップデートされていく判断のスピードが、そのままパンチやフィジカルのスピードに転送されていた。

「自分が集中したら、ロープ際でもらわない自信はあります。感覚的にやっていることではありますけど、よく見えているからできることでもある」

最終12R前、父・真吾にキレた

 そして何より動きが落ちないから、隙をつくらない。フィジカルのスタミナはもちろん、集中のスタミナも途切れない。打たれたら打ち返す、ラウンド終盤はポイントを取るべくもうひと押しする、そして不用意にパンチはもらわない。本人いわく「走りのスタミナはないし、なんなら足は遅い」。そのあとに「自分でもよく動けているなとは思っていました」とも付け加えた。再起戦でもあった那須川戦からは、父も認めるリミッターを外したトレーニングが日課となった。リスペクトする井岡だったから、また一段階上の自分をつくり上げることができた。

【次ページ】 「あの戦い方ならポイントは取られない」

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