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「井上尚弥がここまで押されるとは」元世界王者がリングサイドで驚いた“終盤の攻防”のディテール「中谷潤人がアフマダリエフと違ったのは…」

posted2026/05/05 17:05

 
「井上尚弥がここまで押されるとは」元世界王者がリングサイドで驚いた“終盤の攻防”のディテール「中谷潤人がアフマダリエフと違ったのは…」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

中谷潤人が攻勢に出た8〜10ラウンド、リングサイドのセレス小林は驚きを覚えたという

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Hiroaki Finito Yamaguchi

 世界タイトルマッチにおいてリングサイドの「特等席」から眺める日本プロボクシング協会会長、元WBA世界スーパーフライ級王者のセレス小林こと小林昭司は、自分なりにフラットな観点から採点するのが常だ。

 井上尚弥と中谷潤人による世界スーパーバンタム級4団体統一王座戦。小林の採点は中盤途中まで井上に「10」が並んでいた。クリーンヒットはなくとも、王者が支配しているラウンドが多いと見たからにほかならない。比較するにあたって難しい振り分けではあったものの、どちらかに優位をつけるラウンドマスト制においては内容こそしのぎを削る超接戦であっても、ポイント上は開いてしまうケースはよくある。

 さあ、チャレンジャーはどうするか——。

8〜10ラウンドの中谷の攻勢

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「8ラウンドから中谷選手が今度は強引にでも攻めていきましたよね。パンチ力があるうえに、いろんな種類、コンビネーションもあれば、違う角度で打ってくる。足を止めての打ち合いにおいては攻勢に出て、タイミングも徐々に合いかけていました。あの尚弥選手がここまで押されるかと、正直驚きました。

 今まで尚弥選手と長いラウンドを戦った相手は、ガードを固めてディフェンスに重点を置く選手がほとんど。逆に攻めに行っている選手は、早いラウンドで終わる傾向にありました。しかし中谷選手はガードを固めるわけでもなく攻めの姿勢を失わず、ギリギリの駆け引きのなかで積極的にパンチを振っていきました。

 出力を上げて攻撃しようとした8、9、10ラウンドのような戦いを、本当はもっと早く出したかったんじゃないかとは思いました。ただ、その(強引に攻めさせない)状況をつくっていたのは、まぎれもなく尚弥選手のうまさだったんだなとも感じました」

 絶対王者の井上相手には失速させられてしまう相手がほとんど。しかし中谷は距離が縮まった中盤戦において攻勢を強め、小林も8〜10ラウンドは続けてチャレンジャーへの採点を「10」とした。しかし中谷の流れに傾いたかと思いきや、井上は11ラウンドに右アッパーをヒットさせて後退させ、もう一度自分のペースに引き込んだ。

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