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那須川天心27歳の“異変”「口数が減って…今までなかった」じつはあった“キック出身ゆえの欠点”どう克服した? エストラーダの肋骨を折った完勝ウラ側

posted2026/04/13 17:00

 
那須川天心27歳の“異変”「口数が減って…今までなかった」じつはあった“キック出身ゆえの欠点”どう克服した? エストラーダの肋骨を折った完勝ウラ側<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

再起戦で強敵エストラーダを撃破した那須川天心(27歳)。ここまでの苦しみを物語るように、試合直後には感極まる場面もあった

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Hiroaki Finito Yamaguchi

 WBCバンタム級挑戦者決定戦が4月11日、東京・両国国技館で行われ、同級2位の那須川天心(帝拳)が同1位のフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)に9回終了TKO勝ち、同王座への挑戦権を得た。昨年11月、同王座決定戦で井上拓真(大橋)に敗れた那須川は「崖っぷち」からいかに這い上がったのか。本人と陣営の言葉からその秘密をひもとく。

「心も体もずっとボロボロ」苦しみ抜いた那須川天心

 那須川が百戦錬磨の元2階級制覇王者に快勝した。スタートから積極的に攻め、鋭い踏み込みからパンチを打ち込んだ。苦手だった打撃戦もいとわないボクシングは拓真戦から大きな進化を遂げていた。特に多彩な右ジャブと左右のボディ攻めは効果的で、最後は肋骨を2カ所骨折したエストラーダが棄権を申し出る幕切れとなった。

 那須川はこの半年、本当に苦しんだ。その事実は公開練習や記者会見のコメントからひしひしと伝わってきた。

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「試合前から初めて怖くて、自分が信じられないときがけっこうあった」(勝利者インタビュー)

「ほんと荒療治ですよ。自分のやってきたことをすべて崖から落とされた。スパーやってもずっと怒られるし、ずっと納得いかないし。ライオンが子どもを成長させるために崖から落として這い上がってこいみたいな。それを試合の1週間前までずっとされていた感じだった。ほんとに心も体もずっとボロボロの状態だった」(試合後の記者会見)

 帝拳ジムの浜田剛史代表は追い詰められた那須川の姿を次のように語った。

「今回は試合が近づくにつれて口数が減ってきて、(試合直前の)控室ではほとんどしゃべってない。今までこういうことはありませんでしたから。この試合にどれだけ勝ちたいか。どれだけこの追い詰められた状況をはじき返したいのか。それを感じました」

 那須川の必死さを表しているという意味で、本人が試合翌日に発した次のコメントも興味深い。

「集中力がついたというか、相手にフォーカスできるようになったというか。今までも相手に集中していたけど、お客さんあってのとか、お客さんのためにとか、そういうことも考えたりしちゃってた。今回は自分のためだけに戦ったところが一番のポイント」

【次ページ】 “キック出身ゆえの欠点”を猛練習で克服

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