オリンピックPRESSBACK NUMBER
「あんな選手は世界にいない」競泳日本選手権で“17歳が3冠達成”の衝撃…でも笑顔ナシだった理由は? “北島超え”高校生は「日本の救世主」になれるか
text by

折山淑美Toshimi Oriyama
photograph byJIJI PRESS
posted2026/04/05 11:01
3月に行われた競泳の日本選手権で平泳ぎ3冠を達成した17歳の大橋信。100mでは日本新記録もマークした
大橋の泳ぎの特徴は、他の選手と比べても際立つようなテンポの速さだ。
「小さい頃は速く掻けば掻くほど速くなると思っていたんです。ただ、当時は体が上下するだけの泳ぎでした。でも、中学生になってから少しずつ考え始めて、徐々に斜め前に出て、斜め下に沈む泳ぎになってきた。(所属するクラブである)枚方のコーチは選手の特徴を潰さない方針なので、特に止めろとは言われませんでした」
中学3年生だった24年3月の国際大会代表選手選考会では、200mで中学新を出し、決勝でも7位に入った。
ADVERTISEMENT
そして大橋が一気に進化したのが、昨年だった。
高1時の日本選手権は4位だったものの、高2時の大阪高校選手権では日本選手権優勝記録を上回る世界ジュニア新記録をマーク。昨年7月の近畿高校選手権では、さらにそれを上回る2分6秒91の記録を出して注目された。
「去年の日本選手権はまだ調子があがりきらない感じがありました。世界ジュニアの代表に選ばれたので、ゴールデンウィークにシニアの代表選手たちと一緒に練習させてもらって、そこでボコボコにされたんです。
『早くあの人たちと戦いたい』という気持が強くなったようで、その後にヨーロッパグランプリに行かせてもらいました。世界の本当のトップ選手達と泳いで、ひと掻き、ひと蹴りの弱さやストロークの長さなどを感じたんだと思います。どんどん泳げるようになったのはそこからです」(太田コーチ)
急激な進化を生んだ「悔しさ」
大橋自身も急成長の要因として、太田コーチの言葉に首肯する。
「去年の日本選手権で調整がうまくいかずにいい結果を出せなかったり、持ちタイムでは勝っていた世界ジュニアで、勝負で負けてしまった(※100m、200mともに2位)。その悔しい気持から、うまく練習できているのが要因だと思います」
進化の礎となっているのは、太田コーチが「水泳が好きでいろんな選手の映像をものすごく見ているし、自分の泳ぎがどう変っていくかも見ている」という探究心の強さだ。

