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「結婚して仕事を辞めて欲しいなら、相手は私じゃない」“プロ野球選手の妻”像には抵抗も…美馬アンナを変えた夫の姿と不妊治療「彼を父親にしたい」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byMiki Fukano

posted2026/03/27 11:05

「結婚して仕事を辞めて欲しいなら、相手は私じゃない」“プロ野球選手の妻”像には抵抗も…美馬アンナを変えた夫の姿と不妊治療「彼を父親にしたい」<Number Web> photograph by Miki Fukano

楽天、ロッテで活躍した美馬学投手の夫人・美馬アンナさん

「彼はもともと痛みに強い人ではあると思うんですけど、本当に限界を超えたところで初めて『実は痛かったんだ』、『手術をしようと思うんだけど』と口に出すんです。無理をしてまでやってしまう。彼が大好きな野球を大好きなまま長く続けられるようにするためには、誰かが止めてあげないとダメだ、と思いました。

 それに自分が舞台の仕事とかをやっていると、手術に立ち会ったりお見舞いに行くこともできない。彼は大変なことに立ち向かっているのに、自分だけ好きな仕事をしていることが辛く思えてきて……。野球人生は長くないのだから、それに寄り添うことのほうが自分の気持ちもいい方に向くんじゃないかと思って、当時の所属事務所に、少し仕事をセーブさせてくださいとお願いしました」

「彼を父親にしたい」不妊治療に挑んだ思い

 仕事から少し離れて仙台で暮らす生活の中で、夫婦はもう一つ大きな転換点に立つ。それは本格的に不妊治療に挑むという決断だった。

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「常々、彼はいい父親になるだろうなと思っていました。だから彼を父親にしたいな、って。最初はタイミング法などをゆるく取り組んでいたのですが、30歳に入った頃、先生から体外受精という踏み込んだ治療をした方がいいと言われました。それを主人に話したら『俺もタイミングを取ってあげられなくて申し訳ないという気持ちも無くなるし、二人が仲良くいられるためにその目標に向かって行けるならいいんじゃないかな』と。そこから本格的に治療に取り組んで、採卵をして体外受精というステップを踏むことにしました」

 運良く最初の体外受精が成功し、二人は待望の第一子を授かる。2019年10月11日、アンナさんは長男を出産。30時間の自然分娩の末、産声を上げた我が子をその胸に抱き寄せたその時、あることに気づいた。

 右の手首から先がなかった。

【次ページ】 「何をしても涙が…ひたすら自分を責めました」

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