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大谷翔平も提言「世界で勝ちたいなら…」WBCが日本野球に突きつけたのはピッチクロック問題だけではない…井端監督が大会後に語った“もうひとつの課題”
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/28 17:04
ピッチクロックについて日本のプロ野球でも「世界で勝ちたいなら導入すべき」と自らの考えを語った大谷翔平
確かにこれまでの日本の“野球”とピッチクロック、ピッチコムはなじまないものかもしれない。
宮崎キャンプにアドバイザーとして帯同したダルビッシュ有投手も「打者のスイングや仕草を見て配球を決める日本的なリードは、ピッチコムとの相性が悪い」と語っていた。要はバッテリーの配球や投球の“間”といった“野球”の全てに影響を及ぼす。だからこそ普段から慣れていないと、肝心な場面でマイナスに出てしまう危険があるのだ。
「我々は我々の野球をするんだと思っているのであれば、別に必要ないかなと思いますね」
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大谷はあえて“野球”に固執する日本の球界関係者に対してこんな言葉を使った。
WBCが突きつけたもう一つの課題
そしてもう一つ、今回のWBCの結果が、日本の“野球”に突きつけた課題はそれだけではなかった。
過去最多の8人のメジャーリーガーが参加した日本代表。日本での1次ラウンドでは大谷に鈴木誠也外野手(シカゴ・カブス)、吉田正尚外野手(ボストン・レッドソックス)のメジャートリオの打棒が爆発。日本の1次ラウンドトップ通過の原動力となった。
この3人以外にも日本を代表する長距離打者だった岡本和真内野手(トロント・ブルージェイズ)と村上宗隆内野手(シカゴ・ホワイトソックス)も海を渡り、次の日本代表を支えるような国内組の長距離砲は佐藤輝明内野手とややタイプは違うが森下翔太外野手の阪神コンビくらいしか浮かんでこないのが現状だ。
「これから2、3年後、韓国の若い打者は日本の脅威になるかもしれない」
こう語るのは井端監督だ。
韓国代表の1番を打ったキム・ドヨン内野手は、一昨年の「WBSCプレミア12」のオープニングラウンド5試合で3本塁打10打点と活躍して注目を集め、今大会でも台湾戦で一発を放つなど長打力が魅力の選手だ。一方、4番を任されたアン・ヒョンミン外野手は、兵役でプロデビューは24年だったが、昨季は22本塁打でKBOの新人王に輝いた期待の選手で、今大会でも1次ラウンドで打率3割3分3厘をマークしている。共にまだ22歳という若さでスイングスピードも速くパワフルなバッティングが売り物のスラッガーである。
「日本のバッターを見回したときに、上手い選手はかなりいます。でも、彼らのような将来に期待を持てる大砲候補がなかなか見当たらない。そこに危機感を感じてしまう」
大会を終えた井端監督がこう語っていたのが印象的だった。

