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大谷翔平も提言「世界で勝ちたいなら…」WBCが日本野球に突きつけたのはピッチクロック問題だけではない…井端監督が大会後に語った“もうひとつの課題”

posted2026/03/28 17:04

 
大谷翔平も提言「世界で勝ちたいなら…」WBCが日本野球に突きつけたのはピッチクロック問題だけではない…井端監督が大会後に語った“もうひとつの課題”<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

ピッチクロックについて日本のプロ野球でも「世界で勝ちたいなら導入すべき」と自らの考えを語った大谷翔平

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Nanae Suzuki

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)連覇を目指した日本代表・侍ジャパンの戦いは準々決勝でベネズエラに敗れて終わった。最後はスピードとパワーで優ったベネズエラに力負け。過去最多8人のメジャーリーガーを揃えた“最強チーム”は、大会ワーストの8強止まりという成績でマイアミを去ることになった。

 世界一に輝いた前回大会と今回の大会の一番の違いは出場各国の大会に対する向き合い方だった。前回大会の決勝で敗れたアメリカはほぼ全員をメジャーリーガーで固めたドリームチームを結成。優勝したベネズエラだけでなくドミニカ共和国、プエルトリコなどの中南米の国々もメジャーのスター選手が集結。イタリア系のメジャーリーガーを揃えたイタリア代表の躍進も目を引いた。

 かつては日本だけが「本気」だった大会の様相は一変。過去5大会で3度の世界一となった夢に酔ってきた日本は、頬を叩かれたような大会だった。

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 しかも2年後のロサンゼルスオリンピックにも大量のメジャー選手の参加の可能性が伝えられ、次のWBCではさらにメジャー化が進むことが予想される。その中で日本プロ野球はこれまでの“野球”に拘り続けるのか、それとも国際化の波の中で“ベースボール”へとシフトしていくのか。その選択を迫られることになる。

大谷翔平の“提言”

 声を挙げたのはロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手だった。

「世界で勝ちたいなら導入すべき」

 こう語ったのは今大会から導入されたメジャールールのピッチクロックだった。

 ベネズエラ戦の6回に逆転3ランを浴びた伊藤大海投手は、1人目の打者の2球目にピッチクロック違反を取られて、そこからリズムを崩していった経緯がある。

 1次ラウンドのオーストラリア戦で2番手としてマウンドに上がった隅田知一郎投手(西武)が、6回1死二塁から二塁走者が三盗を試みた際に、若月健矢捕手の悪送球も重なり失点する痛恨の場面があった。

 この場面を井端弘和監督はこう振り返っていた。

「ベンチから『(走者を見て)目で殺せ!』と二塁走者へのケアを指示していた。それなのにサイン交換する“間”がないせいか、隅田は一度も走者の方を見ることなく簡単に盗塁を許してしまった。あれもピッチクロック、ピッチコムに慣れていないせいだと思う」

 そういう勝負の場面で、慣れないルールや機器の使用が影を落としていた。だからこそ大谷は「世界で戦うなら」と日本のプロ野球へのピッチコムの導入を語ったのである。

NPBはピッチクロック導入に否定的

 ところがNPBはピッチクロックの導入にはいまだに否定的である。日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長も、今大会への導入にも断固反対の意向をNPBに伝えた。「以前に大谷選手が発言しているように」と2年前に大谷が「(ピッチクロックで)体の負担は確実に増えている」という発言を引き合いに出してのものだった。しかしその大谷から真逆の発言が飛び出したのである。

【次ページ】 WBCが突きつけたもう一つの課題

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