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「今年は0点…表彰台を獲るつもりでいた」MotoGP開幕戦タイGPを5位フィニュッシュした小椋藍の自己評価がやけに厳しい理由とは
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2026/03/06 17:16
MotoGP2年目の開幕戦タイGPを5位でフィニッシュした小椋
一方、グリッドが悪く序盤に出遅れた藍は、レース後半になってもペースを落とさず追い上げ、スプリントではフェルナンデスに1.5秒差の4位。「序盤の遅れがなければラウルと、3位争いができた」と振り返る。決勝レースでは最大10秒まで広がったフェルナンデスとの差を3秒まで縮めた。藍は「数字を見れば(表彰台は)いけたと思う」と語り、表彰台はもちろん優勝も可能だったのではないかと思えるペースに悔しさを滲ませた。
今大会は藍の走りの良さが生きた一方で、ウイークポイントも改めて浮き彫りになった。予選やレース序盤の「速さ」が足りないこと。一方のチームメートのフェルナンデスは連続ラップでは藍に負けていたが、この一発の速さでトップ3と表彰台につなげた。
藍自身も「一発の速さ」を克服すべき課題として挙げているが、パッシングポイントの少ないチャン・インターナショナル・サーキットではグリッド順位がより重要になった。高い気温と路面温度でタイヤが悲鳴をあげる展開は藍にとって有利に働いたが、予選結果と序盤の位置取りが結果に大きく影響するレースだった。
2年目の進化へ向けて
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しかし、一発の速さは転倒のリスクと比例する。MotoGPクラスのルーキーだった昨年、藍の転倒回数は16回(MotoGPクラスでは10番目の多さ)と、Moto3、Moto2時代に比べても多かった。当然、スピードの高いMotoGPマシンでの転倒はケガにつながり、実際、2度のケガで決勝4レースを欠場した。
タイGPを終えたとき、藍は「今年はもう(公式テストを含めて)2回も転んでいる」とコメントしたが、その言葉にはいまの走りの良さを生かしながら速さを身につけようとする意思を感じた。
今大会のプラクティスと予選で藍は「1周をうまくまとめられなかった」と語っていた。そのために必要なのは何なのだろうか。2年目のシーズンはその答えを見つける日々になるのだろうが、その答えを見つけたときには、念願のトップ3、初表彰台、初優勝が見えてくるに違いない。

