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「美帆に絶対負けたくない」から12年…高木菜那が妹・高木美帆の“最後の五輪”を見つめた表情の意味「結構、心配しているんだろうな」
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矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/03/06 11:13
ミラノ五輪後に現役引退を発表した高木美帆。その五輪最後のレースを見つめた姉・菜那さんとの関係の変わった部分、変わらない部分とは
妹への強い対抗心
だからこそ、妹への対抗心が強いのはビシビシと伝わってきた。当時、菜那さんは日本電産サンキョー(現ニデックインスツルメンツ)に所属して3年目。名門実業団チームの一員として自然な姿だった。
やがて菜那さんが醸し出す雰囲気が少し変わったように見えたのは、15年からナショナルチームでチームパシュートのメンバーとして高木と練習をともにする時間が増えたことや、そのチームパシュートで世界距離別選手権の金メダルに輝いたり、世界記録をどんどん塗り替えたりするようになったからだろう。
ソチ五輪出場で得た自信と、世界に通用しなかった悔しさが、妹への対抗心をトレーニングの原動力へ直線的に向かわせていった。ナショナルチームで夏場に行う自転車トレーニングでは、高木が長い距離で先頭を引っ張ると、それに負けじと菜那さんはさらに長い距離で先頭に立った。
美帆は「姉は姉」
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一方、高木は「姉のことは姉という視線で見ている」というスタンスを最初からずっと変えずにここまで来ている。実際、練習以外の場で2人でいる時は、高木が菜那さんに甘えている感じがある。
普段の2人は「美帆」「ネエ(お姉さんの意味)」と呼び合っている。平昌五輪前の2人そろってのインタビューでは、「高校時代まではよくケンカしたよね」と笑い合い、「今はイラッと来ても、お互い雰囲気に出して終わらせる、みたいな」(高木)、「あー、これはちょっと怒ってるな、ごめんなさい、みたいな」(菜那さん)。
「お互いの性格を一言で表すと?」と聞かれると、菜那さんが「美帆は大人ぶってる」と言ってまた笑い合い、高木は「姉は楽観的に見えて、繊細なところもあるかなと思って見ています」と答えていた。
また、互いの長所を聞かれると、高木は「一番強く思うのは、負けず嫌いなところをそのままきちんと、嫌味もこめず表に出せるところですね。それは自分にはできないこと。というかタイプが違うんです」と言い、菜那さんは「自分は周りのことを気にしてしまって、他の選手の調子はどうなのかなと考えたりするんですが、美帆は自分のことだけに集中する。そういうのは良いなと思っています」と語っていた。


