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野村克也はなぜ“松井秀喜をドラフト指名しなかった”のか? 「史上最高のヤクルト投手」野村が絶賛した伊藤智仁の伝説「わずか3カ月の投球で…新人王」 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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photograph byKazuaki Nishiyama

posted2026/03/26 11:50

野村克也はなぜ“松井秀喜をドラフト指名しなかった”のか? 「史上最高のヤクルト投手」野村が絶賛した伊藤智仁の伝説「わずか3カ月の投球で…新人王」<Number Web> photograph by Kazuaki Nishiyama

わずか3カ月の全盛期にもかかわらず今も語り継がれる伊藤智仁とは

 ともにキャンプで出遅れた伊藤と松井は、4月10日の二軍の開幕戦で顔を合わせ、松井が伊藤からプロ初本塁打を放った。球史に名を残す二人の不思議な縁といえる。

 体調不良もあって、開幕では出遅れた伊藤だったが、二軍で2度目の先発となった4月15日の西武戦で、4安打完封、無四球、9奪三振の圧倒的な投球を見せて、すぐに一軍に昇格。   

 4月20日の阪神戦で一軍初先発を果たし、この試合を7回2失点、毎回の10奪三振の快投でプロ初勝利をあげ、ここから伝説となる伊藤の快進撃が始まった。

“伝説の3カ月”、語り継がれる一戦

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 特に語り継がれるのが、6月9日に石川県立野球場で行われた巨人との一戦だ。先発した伊藤は、1回に四番の原辰徳から三振を奪うと、ここから6者連続三振。4回も3者三振。その後も三振を取り続けて9回1死から16個目の奪三振で、ついにセ・リーグのタイ記録を達成。次打者の篠塚和典と新記録をかけて対戦したが、その初球のストレートをホームランされ、0対1でサヨナラ負けを喫してしまった。

 1試合16奪三振のセ・リーグ記録は、金田正一(巨人)、江夏豊(阪神)のほか、伊藤を含めて8人が達成しているが、達成試合で負け投手になったのは伊藤が唯一の例だ。

 この試合のことを、サヨナラホームランを打った篠塚が、YouTubeチャンネル「上原浩治の雑草魂」に出演して語っている。

 この試合で控えだった篠塚は、三振して帰ってくる打者たちから「球が消える」と聞かされていたという。9回表に守備につき、9回2死の場面で初めて伊藤に相対した篠塚は、「セ・リーグ記録に名が残るのは避けたい。何とかバットに当てよう」と、まずスライダーを見極めるために見ていこうと思っていた。打つ気のなかった初球に甘いストレートが来て、自然にバットが出たらそれがホームランになった。

 この試合で伊藤は150球を投げた。そのことに関して野村は、「150球目だったことはあとで知った。私自身が伊藤のピッチングにすっかり見とれてしまったのである。もし球数に気づいていたら、交代させていただろうか――。それはわからない」と記している(『プロ野球 最強のエースは誰か』)。

【次ページ】 わずか3カ月の圧巻投球で…「新人王」 

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