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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「ファウルだろ!」「ふざけたロスタイム」松木安太郎の“松木節”解説はなぜ生まれたか「W杯優勝には選手だけじゃない、すべての力が必要」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byYuki Suenaga
posted2026/03/02 11:01
本当に松木さんは今回のW杯で解説しないのか? W杯解説に込めた熱すぎる「本気」を、本人が熱く語る
「勝てた試合だったからね。悔しくてたまらなかったですよ。冗談じゃないってね。ワールドカップにPKは要らないよって思ったくらい。決着つくまでやらせてくれよってね。吉野さんが、僕の泣いたのを初めて見たって言ってくれたけど、そうだったかもしれないね」
そしてもう1つが、ロシア大会のラウンド16で2点リードを最後の最後でひっくり返されてしまったベルギー代表戦。涙は出なかったが、スタンドで頭を抱えていた。
「後半に(ヤン・)ヴェルトンゲンがゴール前に送ったヘディングでのボールがそのまま入って1点差になって。結果的にあれで流れが変わってベルギーに火がついた。勝てたゲームだと思うと余計に悔しかった」
大事なのは選手だけじゃなく……
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日本代表と一緒に戦うから、解説に感情が乗っかる。なぜそうするかと言ったら、純粋に「日本が勝ってほしい」からだ。
「監督(の采配)も大事だけど、やっぱり選手たちがどうエネルギーを出していくかが一番ですから。サポーターや見ている人たちの応援が、それを引き出していけるのがサッカーの魅力。応援の人に負けないくらい、解説だってそりゃ力が入りますよ。
ワールドカップ優勝経験のあるドゥンガも、リティ(ピエール・リトバルスキー)も言っていましたよ。『大事なのは選手の質だけじゃない』ってね。つまり代表チームを取り巻くすべての存在が同じ方向を見て、同じ気持ちじゃないと優勝なんてできないんですよ。ドイツ大会で優勝したイタリア代表は、優勝候補でもなかった。その2年前のEUROはグループステージで負けていたし、カルチョスキャンダルがあってイタリアサッカー界全体が批判にさらされた。
そこで選手たちだけじゃなく、サポーターも、周りの人間も一つになったから頂点に立つことができたと思うんです。最も優勝しているブラジルなんて、セレソンが試合をしていたら町に人が歩いていない。一つになっているんですよ。日本もワールドカップを勝っていくなら、そうならなきゃいけない。選手の質だけじゃない。すべての力を結集しないといけないんです」

