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アリサ・リュウ「メダルなんて必要ない」発言の真意「スケート人生はほんの一部」彼女が明かした人生の目標「私のストーリーはなかなかクールなので…」
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/27 17:01
ミラノ五輪女子シングルで金メダルを獲得したアリサ・リュウ。「メダルなんていらない」発言の真意とは…
「皆が新聞の見出しを見て『金メダルを取った』と思うのではなくて、私の物語を時間をかけて知ってくれることを願っています。いずれ、私の生い立ちから、考えてきたこと、引退から復帰、長いストーリーを語ります。私のストーリーはなかなかクールなので、多くの人にインスピレーションを与えられると嬉しいなと思います」
アメリカではもうスーパースターになっていますよ、と言われると首を横に振る。
「スーパースターになることが目標ではないので…。帰国したら外出するときはウィッグを被らないとね。これだけの注目を集めているなら、メンタルヘルスについての意識を高めて、今後について考えないといけません。ただ私は大学で心理学も学びましたから、生かしていきたいです」
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しましま模様のヘアスタイルは、リウが「髪の毛を樹木だと考えるのが好きなの。成長するごとに年輪を作っていくの」と語り、毎年ブリーチを増やしている、彼女のトレードマークだ。4年前は、黒髪のまま、矯正をしたあどけない少女のよそおいで北京五輪に出場していた。
「どちらのオリンピックにも感謝しています。ただ、ここに居たいという気持ち、そして自分の経験を共有したいという気持ちは、今回しか感じられていません」
4年間での変化について、改めて答える。
「4年前まで、どんなに素晴らしい人に囲まれていても、当時は、この世に自分自身しかいないような気持ちでした。コロナが流行り、1人で考える時間を持ち、その時初めて、自分自身のやりたいことに気づいたんです。それは、ひらめきの瞬間のようでした。それからの4年間で本当にたくさんのことが起こりました。だから2度のオリンピックは、大きく異なるオリンピックになりました」
アリサ・リュウが語る「人生の目標」
リュウが一番楽しみにしていたエキシビションには、フリフリのミニスカートに、五輪色のボタンをあしらったワンピース衣装で登場。アイドルのような可愛らしさと、若いエネルギーを振りまいた。
「たくさんの素晴らしいアスリートの皆と滑ることができて、忘れられない思い出になりました。皆と練習することも、友人の演技を観戦することも、本当に信じられないくらい素晴らしい経験でした」
改めて、スケートのモチベーション、そして人生の目標について語る。
「私の人生で最も大切なのは、人との繋がりです。私の人生で欲しいものは、それだけなんです。メダルではありません。スケートをしている限り、たくさんの出会いがあります。だから、アスリートでいられることに本当に感謝しています。この人生が本当に大好きです」
復帰した2年前からこの五輪まで、アリサ・リュウとしての生き方を貫いた。五輪の金メダルは、彼女の“クールな人生”のわずかな1ページとして刻まれた。


