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アリサ・リュウ「メダルなんて必要ない」発言の真意「スケート人生はほんの一部」彼女が明かした人生の目標「私のストーリーはなかなかクールなので…」
posted2026/02/27 17:01
ミラノ五輪女子シングルで金メダルを獲得したアリサ・リュウ。「メダルなんていらない」発言の真意とは…
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート女子の激戦を制し、金メダルを獲得したアリサ・リュウ(米国)。ショート3位発進した後も「メダルなんていらないわ」と独特の価値観を貫き、栄光を手にした。彼女の心に宿るモチベーションとは何なのかーー。
かつての神童である。13歳の若さで全米選手権を制し、ジュニアの国際大会ではトリプルアクセルと4回転ルッツを成功させた。ジュニア時代にはカミラ・ワリエワ(ロシア)らと国際大会の表彰台を争ってきた。当時のことをこう振り返る。
「スケートは好きでしたが、試合に向けて練習していく日々は仕事でした。13歳で全米優勝してからは、自分がやりたくてやっているとは思えませんでしたし、完璧な準備が出来ないまま試合を迎えていました。試合に出れば、旅行ができて、友達に会える。それだけがモチベーションで、試合の成績にはまったく興味がありませんでした」
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リュウは、父親が匿名の卵子ドナーから卵子提供を受け、代理母を通して生まれている。5人兄弟とも母親は異なり、だからこそリュウは兄弟との時間を大切にしてきた。
「2022年の世界選手権後に、自分と向き合いました。ちょうどコロナが流行し、ステイホームで1人の時間を持ち、思春期で、精神的にも大人になっていった時期でした。『本当に自分がやりたいことは何?」「自分のアイデンティティは?』という事を考え、気付きがありました。何より、大学生になる前に、友人や家族とゆっくり時間を過ごさなきゃという思いで、引退を決めたんです」
2022年の世界選手権で3位になると、まさにこれからという勢いのある時期に、電撃引退。名門のカリフォルニア大学ロサンゼルス校に進学し、大学生活を楽しんだ。もともと好きだった洋服のデザインを手掛けたり、ピクニックやギター、ピアノ演奏を楽しむ日々。友達と出かけたスキーがきっかけで、スケートを思い出した。
「スキーはとにかく楽しくて。速く滑る爽快感が最高でした。それで、今の私だったら、スケートも楽しめるかなと思ったんです」
「スケート人生はほんの一部です」
24年夏から復帰し、昨季はシーズンを戦っていくなかで調子を取り戻すと、25年世界選手権で優勝。予想外の優勝に思われたが、彼女の身体能力からすれば当然の結果だったのかも知れない。そのまま五輪シーズンへと突入した。
2度目の五輪に向けてリュウは、結果が目標ではないということを繰り返し発言した。


