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辻陽太の爆弾発言「オレたちはカードゲームのカードじゃねえんだよ」の真意とは? 離脱者続出、アメリカのファーム化…新日本プロレス“危機への警鐘”
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2026/02/17 17:13
IWGPヘビー級王座とGLOBAL王座を掲げる辻陽太。IWGPヘビー級王者を夢見て新日本プロレスに入った男は、ついにそれを成し遂げ歴史をつないだ
1989年にはザ・グレート・カブキの息子という設定でグレート・ムタ(武藤敬司)が出現し、WCWでブレイクした。WCWがWWFを凌駕した時代もあり、nWoはその時代の象徴になった。
2016年に新日本からWWEを選んだ中邑真輔のアメリカでの生活は10年になる。
多くの日本人レスラーがアメリカで活躍している。竹下も2022年からAEWを主戦場にしている。
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オカダ・カズチカも2024年から高額の報酬でAEWに移籍した。
イヨ・スカイ、カイリ・セイン、アスカ、白川未奈ら多くの女子レスラーがWWEやAEWのトップを取っている。
「人々が生きる糧に」辻陽太のプロレス観
話はIWGPに戻るが、辻が面白いことを言っていた。「心が折れたことはないが、折れかけそうになったことはある」と。
辻は社会人を経て、チャンピオンになるために、新日本プロレスに入門した。目指したのは棚橋弘至や内藤哲也が巻いていたIWGPヘビー級のベルトだった。だが、それが“世界”になったとき、目標がなくなってしまったように感じたという。
「IWGPヘビー級王座には新日本プロレスの歴史がある。その価値を大事にしたい。今回、アントニオ猪木さんから始まった歴史をつなぐことができた」
「プロレスが生活に必要かと言われたら、なくてもいいものであるのは、コロナ禍で感じた。でも、プロレスが人々が生きる糧になってくれればいい。だから命を懸けて戦う」
今は昔と何が違うのか?
「それは時代の流れが違う。かつてはスターと呼ばれる人間がいた。今はそれがグループ(何人か)という感じ。大谷翔平は別として、ワントップになれていない。ワントップになりたい。圧倒的なトップになるには知名度と世間への影響力が必要だ」
大学2年生の時、自由が丘の駅で偶然、棚橋弘至に出会い、「君、プロレスラーになったらいいやん」と言われた辻はプロレスラーになって、こうしてIWGPヘビー級王者になった。
「IWGPヘビー級王座。意思や魂によってつながれてきたものを、防衛戦に勝つだけじゃなくて、その価値を守りたい」
辻には統一に反対していた内藤哲也への思いがある。もちろん、内藤のコンディションという条件はあるが、戦うという約束を守りたい気持ちはある。
「歴史が変わる時が一番面白い」
そう語る辻陽太には自信がある。

