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辻陽太の爆弾発言「オレたちはカードゲームのカードじゃねえんだよ」の真意とは? 離脱者続出、アメリカのファーム化…新日本プロレス“危機への警鐘” 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2026/02/17 17:13

辻陽太の爆弾発言「オレたちはカードゲームのカードじゃねえんだよ」の真意とは? 離脱者続出、アメリカのファーム化…新日本プロレス“危機への警鐘”<Number Web> photograph by Essei Hara

IWGPヘビー級王座とGLOBAL王座を掲げる辻陽太。IWGPヘビー級王者を夢見て新日本プロレスに入った男は、ついにそれを成し遂げ歴史をつないだ

「オレはこの団体が好きだ。新日本が好きなんだ。ライオンマークを堂々と掲げていたいんだよ。オレが守るこのベルトも、このリングも、そしてこの新日本プロレスも。だから、同じ方向を向いてくれ。この団体をもっと強く、もっとデカくするために一緒に歩いていこうぜ。この先の未来はオレが作るんじゃない。オレたちで作るんだ。今日ここにいるみんな、そしてこの新日本プロレスのレスラーみんな全員で、この新日本プロレスを作っていくんだ。覚悟は、いいか」

 辻の思い切ったマイクだった。主旨と違うところで言葉尻を捕らえてクレームを付けた人もいたが、過敏に反応する必要もない。言葉には流れと言うものがある。人の顔色をうかがいながら思っていることを言えない会社に未来はない。辻がはっきりと思いを言い切ったというのは、まだ新日本プロレスには希望があるということだろう。

WWEやAEWのファームに…日本マット界の歴史と現状

 1970年代終わりから80年代、新日本プロレスはマーケットとしてWWWF、WWF(=WWE)より勝っていた。過小評価しても対等だった。だが、現在の新日本プロレスは、辻の言葉を借りるまでもなく、巨大化したWWEや新興勢力のAEWのファームとなっている。

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 それを日本とアメリカの経済そのものの差と言ってしまえば頷くしかないが、辻が指摘するように団体の資金力とビジネス形態の差であることは周知の事実だ。

 レスラーの日本マット界からの流出は、日本球界がメジャーリーグのファームと化した現象と一致する。そして、その数は日本のレスラーのレベルが認識されていると誇れる嬉しさとも比例する。

 限りある一度しかないレスラー人生で10年やって稼げる金を2、3年でもらえるならそれを選ぶのが自然だ。もし、アメリカという国が嫌いでないなら。

 1960年代、日本プロレス時代のジャイアント馬場(馬場正平)は、修行中のアメリカで大成功を収めた。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでブルーノ・サンマルチノの相手としても脚光を浴びた。当時の360円の為替レートで1年に数億円を稼いでいた。サラリーマンの給料が数万円の時代だ。

 マサ斎藤も全米マットで長く活躍し、1980年代はバーン・ガニアのAWAで、WWF移籍前のハルク・ホーガンと抗争を繰り広げた。

 メキシコからアメリカに移ったキラー・カーンは、1980年代初めにはWWFでのアンドレ・ザ・ジャイアント戦でブレイクした。同年代後半にはホーガンとも戦った。

【次ページ】 「人々が生きる糧に」辻陽太のプロレス観

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