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「指が折れても赤いベルトを守る」上谷沙弥の覚悟…スターダム“まさかのアクシデント”現地で何が起きていた? 勝った上谷が発言「絶対もう1回やらせろ」
posted2026/02/12 17:06
上谷沙弥は右手の指を脱臼したが、スターライト・キッドに勝って赤いベルト9度目の防衛に成功した。2月7日、大阪府立体育会館第1競技場
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原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
10分過ぎ、スターライト・キッドのコーナーからのボディアタックを下からドロップキックで迎撃した上谷沙弥は「痛い!」と叫びロープ際でもんどりうった。
上谷が動かない。何が起きたのかはわからなかった。
レフェリーの村山大値が時間を止めて、ドクターチェックのブレイクが入った。
アクシデント発生も…応急処置で試合は再開
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「両国の時と同じじゃないのか?」とキッドが抗議した。
両国の時、というのは上谷が負傷したように見せかけ、中野たむをだまし討ちにした一昨年の12月29日の出来事を指している。
あの時、上谷は近寄ったリングドクターを押しのけているが、今回は違った。おとなしくドクターに従った。右手を委ねている。
右手の指の脱臼だった。
ドクターによって指を入れる処置が行われ、上谷は痛さにうめき声をあげた。さらにトレーナーによって、中指と薬指をくっつけて白いテーピングが施された。これで本人に続行の意思があれば、試合は継続される。
レフェリーがマイクで、試合は再開できるが、この後試合を止めることもある旨を観客に説明をしていると、上谷が「できるんだよ」と立ち上がってきた。そしてキッドが応戦し、試合は続行された。
敏速だった対応、社長もリングに近寄って…
2月7日、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)第1競技場。スターダム15周年記念大会のメインイベントは上谷vs.キッドのワールド・オブ・スターダム選手権(赤いベルト戦)で、上谷の9度目の王座防衛戦だった。挑戦者のキッドが勝てば、スターダムのタイトル総なめが現実となり、グランドスラム達成というテーマも掲げられていた。
もし、上谷の脱臼というアクシデントによって、試合そのものがレフェリーストップあるいはドクターストップで打ち切りになっていたら、選手も観客も消化不良、不完全燃焼は否めなかっただろう。
数分間のブレイクはあったが、試合が再開されてよかったということになる。その対応は敏速で結果的に正解だった。指示を受けたセコンドの吏南が本部席に走った。岡田太郎社長もリングに近寄って上谷の様子を見た。
試合再開後、キッドはエプロンで上谷にブラックタイガー式のパイルドライバー、黒虎天罰を放った。三沢タイガーのドライバーも見舞い、ムーンサルトプレス、さらにマウントで殴り、頭突きを何発もぶち込んだ。キッドの執念のようなものがにじみ出ていた。だが、黒虎脚殺でも上谷を仕留めることはできなかった。



