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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「生きて戻れて良かった」平野歩夢の壮絶な挑戦とは何だったのか…仲間のハイレベルな戦いに「夢の先に向き合えた」前回と違う五輪で得たもの
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byNanae Suzuki/JMPA
posted2026/02/16 17:01
出場すら危ぶまれる大怪我を抱えて決勝進出。そこでも生死をかけた挑戦をつづけていた平野がミラノ五輪で得たものとは何だったのか
高得点へさらなる挑戦
着地するたびに下半身への負担が積み重なるだけに、3回目のランには心配もあった。だが、平野は攻めの姿勢を貫いた。4発目の「ダブルコーク1260」は2回目のランでは「ミュートグラブ」だったが、より高得点を狙うため、骨折を引き起こした時と同じ「ジャパングラブ」に挑んだ。
ジャッジがスタイルを重視していると見抜いてのチャレンジ。着地が乱れて転倒したが、果敢な姿には凄みがあった。「生きて戻れてこられて良かった」というコメントは漠然と出たものではなく、本当に命がけだった。
3回目のランを終えた後は「生きるか死ぬか」の綱渡りから解放された安堵感があったのだろう。ゴールエリアで後から滑る選手たちのランを見上げる表情は柔らかく、高難度ルーティーンの応酬をキラキラした目で見つめた。
平野が導いた超ハイレベルな世界
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目の前で繰り広げられた光景は平野自身が生み出した世界観だ。かつてショーン・ホワイト(米国)との戦いを制するため身につけ、北京で五輪史上初めて披露した「トリプルコーク1440」が世界中に与えた衝撃はとてつもなく大きなものであり、ハーフパイプ界のレベルをさらに押し上げる号砲となった。
それから4年。ミラノ・コルティナ五輪では空前のハイレベルな戦いが繰り広げられた。スイッチ・トゥ・スイッチ。トリプルのコンボ……。

