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「生きて戻れて良かった」平野歩夢の壮絶な挑戦とは何だったのか…仲間のハイレベルな戦いに「夢の先に向き合えた」前回と違う五輪で得たもの
posted2026/02/16 17:01
出場すら危ぶまれる大怪我を抱えて決勝進出。そこでも生死をかけた挑戦をつづけていた平野がミラノ五輪で得たものとは何だったのか
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Nanae Suzuki/JMPA
ミックスゾーンでの第一声は「こうやって、生きて戻ってこられて良かった」。
このすさまじい言葉を、平野歩夢(TOKIOインカラミ)は凪のように静かな口調に溶け込ませていた。平野は確かに、「生きて」報道陣の前に立っていた。
2月13日夜(日本時間14日未明)に行われたミラノ・コルティナ五輪スノーボード男子ハーフパイプ決勝。12人中6番目に平野が登場すると、観客席のあちらこちらから「アユム!」コールが起きた。
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日本人だけではない。そこに立っているだけで奇跡を演じている平野の滑りを後押ししようと、世界中のファンが声を上げていた。五輪4大会連続出場で北京五輪金メダリストの平野は、右腸骨など2カ所の骨折を抱えている状態で大舞台に立っていた。
リスクをかけたランも辛い採点
1回目は転倒。2回目は1発目に「スイッチバックダブルコーク1260」を決め、「キャブダブルコーク1440」も成功。3発目に実戦で初めて使った「フロントサイドダブルコーク1620」を成功させて「ダブルコーク1260」につなげ、最後に入れた北京五輪金メダルの切り札「フロントサイドトリプルコーク1440」まで見事に滑りきった。
「(1620をやることは)決めてはいましたが、練習で調整が間に合わず、ぶっつけ本番でした。あそこまでの回転をすると痛みにつながるので、そこはアドレナリンだったり、痛み止めを飲んで、それを頼りにリスクをかけて最後に挑んだというところはあります」
骨折を抱えているとは信じがたい会心のラン。ところが得点は86.50点に抑えられた。

