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「大会中に泣いてしまうことも」スノボ小野光希“予選ブービー通過”から逆転メダル秘話…21歳が「16歳コンビに突き上げられて」手に入れた強さ
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矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2026/02/15 11:02
予選11位というギリギリの通過から銅メダルを獲得した小野光希。何が大逆転を可能にしたのか、日本選手の層の厚さに迫った
大会中に泣いてしまうことも
村上大輔コーチはその時期の様子をこのように語る。
「4年前の北京五輪が終わってワールドカップのクリスタルトロフィーを手にした後に、若い(工藤)璃星と(清水)さらが出てきて、押されるシーズンが続き、本当に何度もメンタルが崩れそうになっていました。大会中に泣いてしまうこともありました」
下からの突き上げだけではなく、けがも重なり、苦しい時期が続いた。しかし、小野は最後のところで心を折ることなく、必死に前を向いた。
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ミラノ・コルティナ五輪の銅メダルはその葛藤を乗り越えたからこそつかめた。小野はメダリスト会見で2人について聞かれると、「すごく刺激をもらえる存在。本当にいい意味でお互いプッシュし合えるようなチームの雰囲気があるので、さらに自分も気合が入るし、やる気も出てきます」と柔らかな表情で語っていた。
そんな小野を村上コーチは「16歳の2人がガーッと伸びてきて、それを感じながらも彼女は自分の精神的強さで乗り切ってやれた。そこが強くなっていった部分かなと思います」と評する。
メンタルがやられることがあってもつねに自分を奮い立たせることができたのは、それだけ北京五輪の悔しさを晴らしたいという思いが強かったからだ。
北京五輪と正反対の展開に
北京では予選を2位で通過し、一躍メダルの期待が高まった。ところが、決勝では思うように行かずに3本ともしっかり滑りきれず、9位に沈んでいた。
今回は4年前と正反対だった。決勝前日の11日午前に行われた予選では得点が伸びず、日本勢4人の中で一番下の11位。
「私のルーティーンの強みは4方向の回転を入れられること。ちょっと変わったルーティーンを見ていただきたいです」と意気込んでいた部分があまり評価されずに、苦しんだところもあった。
それでもどうにか、12人による決勝へぎりぎりで進出。決勝に向けては担当コーチと「採点ではなく、小野光希の滑りをしよう」と確認し合い、予選とは違うルーティーンを組んで1回目から最高のパフォーマンスを披露した。

